明晰夢 【短編集】

アイスと、君と。　_ymmt ページ28

「Aちゃん！！」

『はい？』

「僕のアイス食べた！？」

『…あ、もしかして、』

「…もしかして、ってぇ〜？？」

『…は、ハーゲンダッツ、ですか。』

「そうだけど？なんで知ってるのかなぁ？」

『…』


やっばい…食べちゃった…


『た、食べ、ました…』

「…なんで食べたの」

『そこにあったから…』

「山じゃないんだからさぁ…！」

『な、名前書いてくれとけば食べませんでしたもん！！』

「書いたよ！」

『…えっ！？』

「見てないだけじゃないの…？」

『…ごめんなさい。』

「もー…

僕、Aちゃんと食べようと思って買ってきたのに…」

『…へっ？』



「…2個、入ってたでしょ。」

『…あ…』

そうだ、2個あるから食べちゃえって思って…

…いや、2個あってもダメなんだけどね…！？

「…あれ、俺とAちゃんの分だったんだけど。」

『ご、ごめんなさい…』

折角、山本さんと一緒にアイスを食べるという幸せな空間を味わえるかもしれなかったのに…

『…あ！そうだ、アイス、買ってきます…！！』

アイス買ってくれば…許してくれるかな…

「えっ…い、今から、買いに行くの？」

『…それじゃ、ダメ、ですか。』

「…いいよ、」

『じゃあ、』

「待って、」

『…？』

「…俺も一緒に行く。
それなら、いいよ。」









アイス食べちゃったし、怒られちゃったけど、




「寒いし、手、つなごーよ。」





一緒にあなたと過ごせたから、





『(これはこれでいいかも。)』






なんて。


　

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