Agapanthus (ページ50)

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ブルブル震えるスマホ。

液晶画面に表示されるのは……

JK｢誰？｣

｢……テヒョンさんです。｣

JK｢はぁ……あのヒョン、早速かけてきたか。｣

いや、ジョングクさんがいのいち番に……とは言えない。

｢出てもいいですか？｣

JK｢……駄目。｣

え。

JK｢今俺といるのに、そんなの駄目だよ。｣

｢……じゃあどうすれば、｣

JK｢電源切って。｣

｢でも｣

JK｢早く。｣

間もなくして自然とコールが切れた。

僕はボタンを押して電源を切る。

ちらりとジョングクさんの表情を伺う。

満足そうな顔でもしてるのかと思ってたけど違った。

赤信号で止まっていた車が動いて、大きい公園の駐車場に入っていく。

こんな夜に公園？

JK｢ごめん、｣

エンジンが切られて、シン、と音が無くなる。

明かりが無くてジョングクさんの表情は見えないけど声色は悲しそうだ。

｢どうして……ですか。｣

JK｢ほんとは、全く行く宛てなかった。｣

｢……へ、？｣

JK｢ただ、会いたかったから……ドライブして帰そうと思ったのに。｣

……のに？

JK｢帰したくないんだけど。｣

｢……！｣

バクバクと心臓が音を鳴らす。

ジョングクさんに聞こえてないか心配で思わず押さえた。

JK｢A……｣

｢…っ、｣

ひんやりとした手が耳元に触れて、マスクを外される。

ジョングクさんは既に外してある。

ということは……そういうことで……

ギュッと目を瞑ると頬を撫でられる。

吐息も感じる。

近くにいる。

JK｢ふ、緊張しすぎ。｣

｢んむ、｣

頬を片手で掴まれて、むにゅっと唇が突き出た。

なんだこれ、恥ずかしい……！！

｢っ！｣

不細工に突き出た僕の唇にチュッと音を立てて唇が触れた。

JK｢……やっぱやめた。帰ろっか。｣

え？

JK｢……。｣

じっと僕の目を見つめてから、前を向いてハンドルを握るジョングクさん。

車が静かに動き出した。

どこに向かってるのか分かる。

さっきまで通った道だから、僕の家だ。

JK｢明日はゆっくり休んで、また時間がある時にみんなで遊びに行こう。｣

｢……みんなで？｣

JK｢そう。｣

またって、いつ？

JK｢……着いたけど。｣

ジョングクさんは……

僕を、独り占めしたくないの？

｢……ジョングクさん、｣

JK｢ん？｣

｢僕、────────────｣

･続編に続く！