Agapanthus (ページ34)

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航海ページ34

･A

｢ん……｣

気持ちのいい目覚め。

少しだけひりひりする腰とか首とか、昨晩の記憶はいやというほどある。

僕は……また、自分から求めてしまった。

起き上がって隣を見ると、すでに目を開けて僕の事見てるソクジンさんがいた。

JN｢おはよう。おいで。｣

腕を広げるソクジンさん。

なぜだかその胸の中に収まりたくなって、素直になる。

背中まで腕が回ってぎゅっと抱きしめられた。

肩や首筋、頬や額。

愛おしそうに唇で触れるからくすぐったい。

JN｢ほんとにかわいいね。｣

｢……。｣

JN｢昨日も、すっごく魅力的だった。｣

やさしい手で髪を撫でられる。

また眠くなりそう……じゃなくて、僕仕事行かなきゃ、

JN｢仕事なら今日は大丈夫だよ。｣

｢え？｣

JN｢ほら。｣

一枚の手紙がソクジンさんの手にある。

開けて読むとヌナの字で、

" 大事をとって今日も休んで。何かあったらまた連絡してね。"

って書いてある。

｢どうしてこれ……｣

JN｢いつもマネージャーさんと手紙でやり取りしてるよね。1階のフロントに手紙届いてるかもって思って。｣

さすが、ストーカー……。

JN｢今日は一日僕らと一緒にいようね。｣

｢……え？｣

一日？

僕ら？

JN｢そうと決まればはい、服に着替えて。僕の部屋に行こう。｣

｢え、｣

立ち上がって慣れた手つきでクローゼットから服を取りだし、僕に着せていく。

JN｢今日は個人撮影とか個人の仕事が多いからみんな入れ違いで会えると思うよ。｣

あっという間に服に着替えさせられた僕は、ベッドから立ち上がる。

さあ行こうと手を引くソクジンさんの後を少し戸惑いながらもついていく。

……ついて行っていいのだろうか。

この人たちは僕のストーカーで、無理やり僕を襲ったひと。

だけど、僕が求めてしまったもの。

僕、童貞のはずなのにこんなに破廉恥なんだ。

知らなかった。

自分のこと、もう全部わかってると思ってたのに。

ソクジンさんの部屋は僕の隣の隣の部屋だった。

ほんとに近い。

僕らの間の部屋は空き部屋ってこのマンションのオーナーさんが言ってたけど今はどうなんだろ。

JN｢そういえば、みんなで隣の部屋も買ったんだ。｣

｢へっ？｣

JN｢だって僕らの間に他人なんか要らないでしょ？隣の部屋、まじで何にもないからみんなの倉庫になっちゃった。｣

はは、と笑うソクジンさん。

この人たちは相変わらず狂っている。