Agapanthus (ページ21)

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Who？ページ21

･A

握りしめているホテルかどこかの鍵が手にくい込んで痛いけど、全力で廊下を走った。

mn｢あぁ！どこ行ってたの！｣

｢こっちのセリフだよ、ヌナだっていなかった ……！｣

mn｢……ずっと動かないわけないでしょ？でも近くにはいたよ。もうその衣装買い取ったからそのまま行くよ。｣

自分の控え室に戻って、やりようのない怒りとか、怖い思いとか全部声に出してヌナにぶつける。

ヌナはキョトンとした顔してもすぐに戻って僕の背中を推す。

僕はカバンに鍵をいれて、廊下を歩いた。

mn｢どこに行ってたの？｣

車の中でそう言われて言葉が出てこない。

あんな動画も見せられて、もう心が追いついていかない。

バラエティ収録なんかできるのか……。

｢トイレだよ。｣

mn｢……そう。｣

正直カバンの中の鍵のことが気になってなにも入ってこない。

僕、今日そこに行かなきゃならないの？

何されるかわかんないのに……？

｢ヌナ、明日の予定はなに。｣

mn｢明日は……この前の映画の試写会でその後は雑誌の撮影と取材、そのあと香水のCMの続編の撮ることになったからそれの打ち合わせね。｣

｢ありがとう。｣

明日も多忙だ。

ホテルに行ったらすぐに帰る。

なんとか、あの動画も消してもらうようにしないと。

なにか、引き換えになるものないかな。

お金……は、彼らも余るほど持ってるだろうし……

ああ、わかんない。

でももうあの人たちに会うのが嫌なんだ。

mn｢よし、衣装はこれよ。｣

バラエティ番組の控え室についてヌナに渡された衣装に着替える。

mn｢今度はちゃんとずーっとあそこにいるから！｣

ヌナが大袈裟に親指を立ててグッてするから思わず笑ってしまう。

切り替えないと。

司会｢本日のゲストは、カン･Aさんです！────────────｣

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収録を終え、次は事務所に行ってオーディション会場に向かう。

僕のオーディションじゃなくて、子役のオーディション。

社長が審査に関われって言ってうるさいから。

これが終わったら……僕は、

mn｢はい、着いた。これ終わったら家でいい？｣

｢……うん。｣

とにかく一度家に帰ろう。

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