ラプラスの天使【d!】 (ページ5)

今日:5 hit、昨日:2 hit、合計:6,980 hit

第5話ページ5

.

え？え？え？
なんで私、この人達に銃口向けられてるの…？

この状況を理解していないのは私と、このフードを深く被った男の子だけだった。

「な、なんで私…銃口向けられてる…ですか…？」

怖い大人の人から逃げて来て、今度は同い年位の男の子に殺されるの…？生きる為に逃げてきたのに…
この人達は悪い人達だったの…？

「お前が追いかけられていた理由はなんだ」

「え…？分かり、ません…」

「ならお前が本当に追われていた確信がないな」

「はぁ…？なんで私が追いかけられてる確信が必要なの？」

段々と手や脚の痛みが出てくる。体の震えも増してきた。
しかし、トン氏と呼ばれたこの子は拘束を緩めない。

「そんなん当たり前やろ」

声を出したのはシッマと呼ばれていた男の子。

「お前が俺らにわざと近付いた帝国側のスパイかもあらへんやろ」

「し、知らないっ…！帝国側って何！？私聞いたことないよ？！」

死にたくなくて、必死に訴える事しかできなかった。これが逆にしらばっくれるその…帝国側？のように見えていたかもしれない。

「貴方達のことだってさっき知ったしっ…！」

「さっき知った…？」

「あっ…そ、うじゃなくて…！初めて見たし！…」

淀んだ空気が流れる。心臓はバクバクと音を立て、目線は銃口の先にしか目が行かなかった。

「…トントン、奴らは孤児の娘を諜報員として使用すると思うか？」

「それも無くはない。けど可能性は低いと思う。低コストやけどハイリスク過ぎる」

「……。」

「それにこの震えよう、傷からしてほんまに追われてたって感じやな。それか脅されて強制的にさせられたか。でもこれはさっきも言った通りハイリスク過ぎるから無い。とすると多分…」

トン氏と呼ばれていた子は拘束を解き、銃口も下ろしてくれた。他の子達もため息を着いて次々と荷物を下ろす。

「え…え……」

急に解放されてもう何が何だか状態。

「おい、お前名前は？」

急に呼ばれて振り返ると、さっき私に銃口を向けていたこのグループのリーダーっぽい子が手招きしていた。

「えと、Aです」

すすっと駆け寄り同じようにしゃがむ。苗字は一応言わないどいた。

「俺はグルッペン、此奴はトントン、そこの水飲んどる奴がコネシマ、でその水を奪おうとしとんのがシャオロン、そこでモジモジしとんのがゾムや」

とりあえず今日はここに泊まれ、と言ってくれた。行く宛てもなかった私にとってはとても有難かった。

.