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海を背にして彼女は俺を見つめる。
あと一歩でも後ろに行けば彼女は確実に海に落ちるだろう。
「⋯⋯なんで、って⋯こっちが聞きたいわ
なんでこんなとこ来たんや？」
「⋯魔女との、約束なの」
魔女・・・？
なんや魔女って
「訳分かんないって顔してる
それもそうだよね、実はね、私⋯人魚なんだ。
それで魔女に頼んで人になれるお薬を貰ったの。
だから今は足があるし、歩ける。
でも約束があってね、
『王子と結ばれなければ私は水の泡になる』って魔女と約束をしたの。
だから⋯ね、分かるでしょ？」
ね？
と言いながら俺に微笑む彼女。
分かる、いや人魚とか魔女とか意味分からへんけどこんな状況見たら否が応でも理解はできた。
「⋯⋯止めないでね」
「なんで、なんでなん、そんなん一方的に言われても⋯無理やって！」
「なんでそんなに⋯怒るの？」
止めないで？
なんやそれ、じゃあAが海に落ちていくのを俺はただ見とくことしかできひんの？
「怒ってなんか⋯⋯ないで」
「⋯今日、会ったばかりなのに変な人。
だけどね⋯私嬉しかったよ
私が迷ってた時案内してくれたでしょ？
だからね、コネシマくんのことも私、好きだよ」
彼女はその言葉と一粒の涙を最後に⋯⋯
後ろへ、落ちていった。
「おい、待っ」
ああ⋯⋯またや。
また「待って」が言えへんかった。
「好きだよ？」なんやそれ、そんなん最後に言うとか⋯⋯ほんまに
ずるい、ずるい、ずるい、ずるい⋯
俺やって今日初めてAを見て、惚れて、いきなりおらんくなって、こんな悲しい思いしたことあらへん。
俺は崖から下を除く。
ザァァァと何回も波が押し寄せて音がうるさかった。
ずっと迷ってばっかやったけど
今だけはすぐに決断できた。
「最後にそんなん言われても⋯⋯期待するで？
俺も⋯
好きやでA
やから俺も一緒に
そっちに行くで」
お前が俺の気持ちなんか聞かずに一方的に行った分、
俺の我儘も許してくれるやろ？
.
誰かが落ちる音は波の音と共に消されていった。
.end.
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さくらんぼ双子(プロフ) - 黒灰白さん» ありがとうございます！！ (2022年6月19日 21時) (
レス) id: b167e19be9 (このIDを非表示/違反報告)
黒灰白(プロフ) - さくらんぼ双子さん» 無理はしないでくださいね〜！応援してます‼️ (2022年6月19日 16時) (レス) id: 071b8e6376 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ双子(プロフ) - 黒灰白さん» そうですね…でも深夜テンションでも面白いと言っていただけ本当嬉しいです！これからも期待に応えられるよう頑張っていきます〜！ (2022年6月19日 16時) (レス) id: b167e19be9 (このIDを非表示/違反報告)
黒灰白(プロフ) - さくらんぼ双子さん» 深夜テンションだったんですね⁉︎吃驚です✨これからも頑張ってください〜！ (2022年6月19日 15時) (レス) id: 071b8e6376 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ双子(プロフ) - 黒灰白さん» 神作だなんて！でもありがとうございますm(_ _)m深夜テンションで書いたknさんの話ですが面白いと言って頂け光栄です！！ (2022年6月19日 15時) (レス) id: b167e19be9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セーラス＆さくらんぼ双子 x他1人 | 作者ホームページ：なし
作成日時：2022年6月18日 22時
