第三十六話 ページ37
「え？」
抱きついていた彼女を離し、夜久君は彼女と目線を合わせた。
夜久「まだ解散してない。烏野もまだここにいる。ならまだ終わってないだろ？まだ話せるチャンスはある。A次第だよ」
「…でも僕、女の人相手にどう話せばいいか分からない…」
夜久「うーん、いつも通りのAでいいと思うけどな、ね、スガ君」
いきなり話を振られる。
清水のこと、だよな？
菅原「えっ、あ、うん。清水はそう簡単に人を嫌いになったりしないから大丈夫だよ」
俺もなるべく優しく、彼女の目線に合わせて伝える。
清水と仲良くなりたいと思ってくれてる…清水も今日なんかワクワクしてたし、仲良くなって欲しいな。
夜久「ほらな？」
菅原「なんなら後で一緒に清水のとこ行くか？」
「…夜久さんも一緒に、」
夜久「〜ッ、おう、ついてってやる」
あれ、夜久君顔赤い。
お？これってもしかしてそうゆう関係かな？夜久君も男子高校生だもんな、彼女の1人や2人いてもなんらおかしくない。
夜久君はじゃあ後でな、と言って彼女と別れ俺の方を向いた。
夜久「巻き込んですみません」
菅原「いやいや、それより、あの子は夜久君の彼女なのかな？」
夜久「はっ、かっ？！や！違う違う！付き合ってないよ」
真っ赤な顔で否定する夜久君。
あれで付き合ってないんだ。マネージャーも夜久君のこと好きそうだけど、
菅原「でもあの子のこと好きだよね、夜久君て」
夜久「なっ、んで…」
菅原「あはは、顔真っ赤だし、わかりやすいよ」
両片想いってところかな。
青春だ。2人とも可愛いな…
俺は2人の恋事情が面白くって後ろの扉から関係者じゃない人が様子を見ていたことには全く気づかなかった。
その人の目的はなんなのか、誰を見ていたのか、何も気づかなかった。
〜noside〜
バーボン「…」
陰から見ているその男の視線は菅原と話している夜久。そして嬉しそうな、ちょっと恥ずかしそうに顔を赤らめ片付けを再開したAだった。
「？」
その視線になんとなく気づくAだったが、幸せが勝っているのか、特に気にせず片付けを続けた。
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作者名：小豆 | 作成日時：2021年6月11日 15時
