第三十五話 ページ36
菅原side
片付けの時に仲良くなった夜久君も話をしていた。
なんだかちょっと似てる部分がある気がするんだよな、こう…考え方というか、それに。
すると夜久君の背後に西谷が、ジーッと夜久君を見つめてる。
西谷、しゃべりたいならしっかり正面から来い…
夜久「あの、スゲー見られてるんすけど…」
菅原「スンマセン。目を合わせないようにしてれば大丈夫だと思っ」
西谷「3番さんのレシーブ、凄かったっす！！」
困惑してる夜久君に目を合わせなければ、と言ったところで西谷が後ろから声をかけた。
声をかけるというか一方的だけど、夜久君はそれに飛び跳ねて驚いてた。
西谷「ウチのエースのスパイク、あんな風にちゃんとあげる人、初めて見ました。あんだけ全員レシーブのレベル高いチームでリベロの座にいる実力、やっぱすげぇと思いました。俺も負けないッス！失礼します！」
菅原「あ、コラそんな一方的に！なんかすみません…ま」
いい終わって去っていく西谷。
俺が夜久君に謝ると、夜久君は西谷が去った方真剣な表情で見つめてる。
夜久「…やばいっすね」
菅原「え？」
夜久「彼だって相当レベルの高いリベロなのに、慢心するどころかひたすら上だけを見てる…怖いっスね」
そんな風に思ってくれてるなんて…西谷、良かったな、おまえ夜久君に怖いって思われてるよ。
「夜久さん」
菅原「？」
夜久「？A、どうした？」
すると次は俺の背後から声が聞こえて振り向くと、なんだか顔が暗い音駒のマネージャーがいた。
マネージャーは俺に会釈をして通り過ぎ、夜久君に抱きついた。
夜久「ッ？！A？！」
菅原「あ、俺、邪魔かな？」
夜久「いやいやいや！邪魔じゃないから！」
「できなかった…」
立ち去ろうとしてる俺を引き止める夜久君。
そんな時夜久君に抱きついたまますごい小さい声でマネージャーが声を発した。それに俺も夜久君も静かになりマネージャーを見つめる。
夜久君はそっと抱きついて顔を埋めてるマネージャーの頭を撫で始める。
夜久「何ができなかったんだ？」
「清水…さんと、仲良くなりたかったの…」
夜久「うん」
「でも僕、女の人と仲良くなる方法わかんない。」
夜久「うん」
「どんな風に話せばいいかわかんなくて、なにも話せなかった…」
夜久「うん」
「仲良く…なれなかった」
小さい声で話しきった彼女に夜久君は頭を撫でたまま、そっかそっかうまくいかなかったか、と優しい声色で言う。
夜久「でもA、まだ終わってねえぞ？」
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作者名：小豆 | 作成日時：2021年6月11日 15時
