第三十四話 ページ35
田中side
山本「あの、」
支柱を体育倉庫にしまった時音駒の4番が呼び止めて来た。
こいつは確か、1番初めに喧嘩売って来たやつだ。
これは舐められてはいけない!
田中「なんだコラ!ヤンのかコラ!」
山本「あ、あの…マネージャーさんの名前、なんて言うんですか。」
田中「…」
思っていたような態度でも内容でもなく、一瞬固まった。
だがしかし、こいつはあの潔子さんの名前を知りたがっている。これは…これは、許しておけねぇ!
田中「テメェ!うちの潔…マネージャーにちょっかい出す気か!その頭のふさふさした部分しつこく触るぞコラ!」
山本「いや!話しかける勇気はない!」
こいつ…それはそれは清々しく言いよった。
こいつは…こいつは…俺と同じ…!
田中「潔子さん、清水潔子さんだ」
山本「おおお!名が体を表している!!」
田中「そうだろうそうだろう!俺もな、話しかけるまでだいぶ掛かったから気持ちはわかる!でもなー、話しかけてガン無視されるのも、いいぞ!」
山本「いやっ…俺にはまだハードルが高い!」
顔を赤らめて否定する4番。
なんだこいつ、実はいい奴だったのか。やっぱ東京だからって判断すんのはよくねえな!
山本「それに…俺より先にあいつが仲良くならねえと…」
田中「あ?あいつって?」
ボソッと言った言葉をかろうじて拾えた俺。
さっきとは違う真剣な顔をしている。
山本「A。ウチのマネージャーが、き、潔子さんと仲良くなりたがっていた!」
田中「マネージャー…そういえばそっちのマネージャーも可愛らしい方だったな、」
山本「あぁ!顔はいいんだ顔は!いや、性格もいいんだが、ちょっと変わり者でな!気まぐれな奴なんだよ!」
4番は思い出すように、優しい顔でマネージャーのことを話す。
まるで自分の妹の話でもしてるかのような顔だ…
山本「そんなあいつが、初めて仲良くなることに苦戦してる…だから少しでも手助けしてやりてぇ」
田中「…お前、最初は突っかかっていたが、なんだお前、結構いい奴なんだな!」
山本「お前もな!」
心の友となった猛虎と握手をした。
こいつとは分かり合える。そう信じて疑わなかった。
だが、その前に…
田中「ちなみにそっちのマネージャーさんの名前は…」
山本「猫羽Aだ!その名の通り猫みたいな性格だ!」
田中「おぉ!!一度話してみたい…」
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作者名:小豆 | 作成日時:2021年6月11日 15時