第三十三話 ページ34
ついに始まったゴミ捨て場の決戦。
ゲームが続くにつれ烏野は面白い。特に日向と黒髪セッターの攻撃。
日向早いしよく飛ぶ。セッターもその日向に合わせてトスしてる。
面白いなぁ。
「ンフフ」
猫又「なんだ？A」
「ンーや？そろそろタイムアウトかなって」
猫又「はっはっはっ、うむ。そうだな。」
猫又監督の合図で一つ目のタイムアウトをとった。
僕は作ったスポドリとタオルを芝山に手伝ってもらいながら全員に渡していく。
猫又「リベロもスパイカーもいいのがいるな。中でも一番とんでもねぇのはセッターだ。」
たしかに。日向はボール見ずにスパイク打ってるし、てなるとセッターは1センチのズレもない正確なトスを上げてるってことかな？
猫又「アレは化けもんだな、スパイカーの最高打点での最速トス。針の穴を通すコントロールだ。まあ、天才はしょうがねえ。が、天才が1人混じったところで、それだけじゃ勝てやしないのさ。」
孤爪「翔陽が攻撃の軸なら、翔陽を止めちゃえばいい。」
山本「翔陽？」
黒尾「あのすばしっこい10番」
研磨の提案で出た作戦は至ってシンプル。左側にブロック寄せて、反対側にあった日向に犬岡が付いていく。
一番すばしっこいのは犬岡だし、なんだか頭の中にてるみたいだし、適任者なのかな。
試合の結果はウチの勝ち。
でも日向は身を瞑らない速攻を今日身につけたみたいだ。日向も面白い。
バレーへの執着心といい、楽しみ方といい、すごく面白い。
研磨が気にいるのも納得だなぁ。
片付けが始まって、僕はスポドリの容器を洗いに水道へ行く。
「あ、」
清水「あ、Aちゃん、お疲れ」
すでに烏野のマネさんがいた。
隣を開けてもらい、一緒に洗う。どうしよう。話しかけないと、何か、じゃないと仲良くなれない…
清水「音駒、強いね、」
「…あ、はい。」
なにこのコミ症！僕こんなんじゃない！！
でもわかんない、嫌われたくないもん。どう接すればいいのかわかんない。
清水「全員がレシーブすごくてびっくりしちゃった」
「…ウチは過保護なチームなんです。」
清水「過保護？」
「脳を、甘やかしてる、チームなんです。」
ニコッと笑ってみせてそう言った。
ちょっとだけ話せた！やっぱり音駒のみんなのことになるといいたいことがちゃんと出てくる。
でも烏野のマネさんとはそれから会話はしなかった。
なんでこうもうまく話せないんだろう。
考えれば考えるほど落ち込んでいく。体育館に入ると少し先に夜久さんが見えた。
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作者名：小豆 | 作成日時：2021年6月11日 15時
