第三十二話 ページ33
烏野との練習試合当日。
烏野総合運動競技場。ちゃんとした体育館になってる。
ずらっと一列に整列したみんな。それに答えるかのように烏野の人たちもみんなの前に一列に並んだ。僕はそれを後ろから眺める。
なんか似てる人いない?ほら、あの坊主の人とか山本に似てる…
清水「あの、音駒のマネージャーさん?」
すごい綺麗な大人っぽい女の人。烏野のジャージ着てるから向こうのマネさんなんだろうな。
それにしても綺麗…仲良く、なりたい、かも…
「ン!そう…です」
清水「やっぱり!スポドリ作りに行くんだけど一緒に行かないかな?」
「…あ、はい」
いつもの僕ならもっと明るく受け答えでるのに…
なんかこの人相手だと緊張する。女の人、だからかな。自分から仲良くなりたいって、しかも女の人に、初めてかも。
スポドリを作りながら悶々と考える。
わからない。女の人ってどう接すれば仲良くなれるのかな。杏奈はあっちが僕にずっとついて来てたから…
清水「私、清水潔子、三年生よ。あなたは?」
「ンニャ…猫羽A、です。二年」
清水「Aちゃんね!よろしく」
「ン、…」
無理だった。
そのままスポドリを作り終えお互いのチームの元に戻った。
明るく話そうと思ってた。なのにできなかった。なんか落ち込む…
夜久「A大丈夫か?」
「ン、夜久さん…」
夜久「なんかいつもより暗いけど、なんかあったか?」
「ンーニャ!なんともない!」
夜久「…そうか、今日もたくさんスパイク拾うからな!見とけよ?」
そう言って僕の頭を優しく撫でる夜久さん。
また心臓がうるさくなる。体も頭の先から爪先まで熱くなってくる感じ。
なんだか余裕ない。けど夜久さんの顔見てわかった。僕のこと励ましてくれてるんだ。
「ン…楽しみだなぁ!」
そんな夜久さんに答えるように笑ってみせた。
この心地よいうるささを大事に感じる。
夜久「〜〜ッ」
「えッ、夜久さん??」
いきなり夜久さんがしゃがみ込んだ。僕の頭を撫でていた手は夜久さんの顔を覆っている。
ちょっと撫でてもらえなくなって悲しい…気がする?
夜久「無理、可愛い…」
「ン?なんて?」
しゃがみ込んでる夜久さんの顔を覗き込んでみる。
夜久さん顔真っ赤。
なんだか面白くて次は僕が夜久さんの頭を撫でる。
夜久「…ずりぃ」
「ッ!」
真っ赤な顔で言う夜久さんを見てブワァッと体が熱くなる。特に顔が…
黒尾「行くぞーやっくーん」
黒男さん合図に夜久さんも返事をして試合へ向かって行った。
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作者名:小豆 | 作成日時:2021年6月11日 15時