第26話 ページ27
「お、あったあった」
アルワンダはフーザの体内にあった宝石のようなものを取りだした。
「知ってた？ これね、勇者の力の塊なんだよ。これをオレが取り込んだらどうなると思う？」
アルワンダは「邪魔だなぁ」と呟き、フーザを床に投げ捨てた。
フーザの虚ろな目が私を見つめる。
「この男、ほんとに邪魔だったんだよね。いっつもいいところで回復しちゃうし、無駄に頭いいしさぁ」
アルワンダが魔法で真空刃を生み出し、フーザの頭部めがけて放った。
私は思わずギュッと目を瞑る。
液体が私の顔にかかるのがわかった。
「いよいよだ…」
アルワンダは塊を口に入れる。
その瞬間、膨大な魔力がアルワンダから発せられた。
衝撃で私の拘束が解け吹き飛ばされる。
「すごい…すごい魔力だ！ さぁ、 戦おう！ 戦いたくてたまらないよ！ さぁ！！」
アルワンダがじりじりとこちらに寄ってくる。
私は立ち上がり、攻撃の構えをとった。
「ファイガル！！」
私は炎の塊を作り出し、アルワンダに向けて放った。
しかしそれを魔法でねじ伏せられてしまう。
「クハハハハ！！ そんな攻撃効くわけがないだろう！ オレは2人分の魔力を持ってるんだぞ！！」
アルワンダは自分の何倍もある黒魔法の塊を作り出し始めた。
考えろ、あれにどう対抗する？
魔法で相殺？ いや、あの大きさに対抗できる魔法を持っていない。
だからといってあれをくらったら回復する暇もなく死んでしまうだろう。
「…っ！？ ぐああああ！！」
突然、アルワンダが苦しみ始めた。
私は何事かと目を見張る。
アルワンダの禍々しい魔力の中に、美しくて聖なる魔力が溢れているのがわかった。
「こ…この魔力はなんだ！ 汚らわしい！勇者の魔力ごときが…オレに抗うな！」
そうか。フーザの手に入れた勇者の力は、モンスターを寄せつけないほどの清らかな魔力だった。そのおかげでアルワンダが苦しんでいるのかもしれない。
�犁Г雖瓩鮖箸Δ覆藝�しかない。
最初で最後のチャンス、皆がつくりだしてくれたチャンスだ。
私は両手を組み、目を閉じる。
どうか、私の祈りを届けてください。
神の祈りを、届けてください。
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猩々(プロフ) - パトさん» そのようにおっしゃっていただけて嬉しいです。この作品を読んでくださりありがとうございました。 (2021年3月19日 19時) (
レス) id: f5012a712b (このIDを非表示/違反報告)
パト(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました。終盤の段々狂っていく感じが凄くゾクゾクしました。読み終わってから設定キーワードを見て「こんなところにもメッセージが……」と感動しました。長文、駄文失礼しました。 (2021年3月17日 22時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猩々 | 作成日時：2020年11月6日 14時
