第21話 ページ22
「なんでこんな所にいるの！？ アルワンダ！」
私はアルワンダに駆け寄る。
アルワンダと会えた。9年ぶりに会えた。
アルワンダはかなり雰囲気が変わっていた。
昔のようなオドオドした感じがなくなっている。
成長したんだな、としみじみ思った。
その瞬間、私の腹部に痛みが走る。
状況を飲み込めなかった。
腹を見ると、私のものと思われる血が流れている。
目の前のアルワンダは笑っていた。
「アルワンダ…？」
「ほんとお人好しだよね、昔からさ。まぁ、そのおかげで助かったけど」
「どういうこと？ 私達を騙していたの？」
アルワンダはこちらにゆっくり近づいてくる。
私は警戒を強めた。
「この際だから教えてあげるよ。あの村を壊したのはオレだ」
その言葉を聞いた瞬間、私の頭にカッと血がのぼる。
私はアルワンダに手をかざした。
「クーララ！」
氷柱を呼び出すが、アルワンダは華麗にそれを避ける。
「危ないなぁ、いつからそんなに凶暴になったわけ？」
「なぜ…なぜ村の皆を…！」
その瞬間、アルワンダは高らかに笑う。
「この瞬間を楽しみにしていたんだよ…」とアルワンダから声が聞こえ、私に向かってニヤリとした。
「俺が魔王だからだよ」
私は目を見開いた。
嘘だ、そんなはずは無い。
だってあんなに、あんなに人がよかったアルワンダが、そんなはずは…
「クク、信じられないって顔してるね。最高だよ。
ほら、目の前に魔王がいるんだよ？ �犁Г雖瓩六箸錣覆�ていいの？」
「…！ なぜそれを！」
アルワンダはおろか、家族以外の誰にも�犁Г雖瓩里海箸魘気┐討い覆い呂困澄�
ジェイルとフーザには、魔王城に攻め入る当日に伝えようと思っていたのだから、旅の途中に情報が漏れたということもないだろう。
それなのになぜ…
「ほら、使えよ」
アルワンダは両手を広げる。
今ここで使ったら相手の思うツボだ。
隙を見て私を殺そうとしているに違いない。
「…さすがにその手には引っかからないか。じゃあオレも忙しいし、勇者御一行が来るのを楽しみにしているよ」
アルワンダはテレポートを使おうとするが、思い出したように魔法を止めた。
「ああ…そういえば、これは返しておくよ」
「えっ…？」
アルワンダはどこからともなく何かを取り出すと、こちらに投げてきた。
私はそれを受け止める。
「これ…私が大事にしてた人形！」
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猩々(プロフ) - パトさん» そのようにおっしゃっていただけて嬉しいです。この作品を読んでくださりありがとうございました。 (2021年3月19日 19時) (
レス) id: f5012a712b (このIDを非表示/違反報告)
パト(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました。終盤の段々狂っていく感じが凄くゾクゾクしました。読み終わってから設定キーワードを見て「こんなところにもメッセージが……」と感動しました。長文、駄文失礼しました。 (2021年3月17日 22時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猩々 | 作成日時：2020年11月6日 14時
