第19話 ページ20
「な、なんだ!?」
私達は咄嗟にしゃがんだ。
すると、さっきの本が仕舞われていた本棚が床に収納される。
まさか、隠し通路だろうか。
「こ、これ…まさか、魔王城への入り口!?」
「こんなところにか!? だってここは歴代の勇者が必ず通る場所だぞ!? そんな所に道をつくるなんて…」
ジェイルの叫びに、フーザが冷静に返した。
「いや、有り得る話かもしれない。ジェイルのような考えをする勇者が多いから、こういう所はスルーされやすい。あえてここに道をつくるというのもない話じゃない」
「んん…? よくわかんねーけど、ここが魔王城の入り口ってことだよな?」
「おそらくね」
「よし! さっそく行くぞ!」
ジェイルが通路へ進む。
「ちょっと、ジェイル! ちゃんと準備をしてから…」
「大丈夫だって! やばそうだったら引き返せばいいじゃねーか!」
私達も慌てて追いかける。
フーザが「やれやれ」と呟くのが聞こえた。
それから私達はかなり歩いた。
歩くのにも疲れてきた頃、やっと出口が見え始めた。
「おい、お前ら! 早く来い!」
先を進んでいたジェイルが私達に叫ぶ。
何事かと駆け寄ると、ジェイルが出口の外を指さした。
「ここ! ほら、村の…」
そこは、私達が住んでいる村の裏にある洞窟の最奥に繋がっていた。
本来ならば巨大熊がいたはずの場所だ。
「うわ〜! 懐かしいね!」
「確かに懐かしいけどよ、魔王城への道じゃなかったみてーだな」
すると、今まで黙っていたフーザが奥の壁を調べ始めた。
「…いや、当時はわからなかったけど、さっきと似たような魔力がここから感じられる。2人とも、ちょっと離れてて」
私達は言われた通りにフーザから距離をとった。
フーザが壁に手をかざすと壁一面に魔法陣が現れ、その直後に壁が消え去る。
そこには、新たな通路があった。
「やるなフーザ!」
「やっぱり魔王城への道で間違いなさそうだね」
私達は本格的に魔王城へ攻め入る前に村へ戻り、明日から魔王城への攻略を開始することにした。
私達は洞窟を難なく進んでいく。
9年前と比べて、少しモンスターの数が多くなっているような気がした。これも魔王の影響だろうか。
少し歩くと、洞窟の出口が見えた。
外から差し込む光に目が眩む。
ここを出れば故郷が待っている。
「…何、これ」
しかし、そこに村と呼べるものはなかった。
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猩々(プロフ) - パトさん» そのようにおっしゃっていただけて嬉しいです。この作品を読んでくださりありがとうございました。 (2021年3月19日 19時) (レス) id: f5012a712b (このIDを非表示/違反報告)
パト(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました。終盤の段々狂っていく感じが凄くゾクゾクしました。読み終わってから設定キーワードを見て「こんなところにもメッセージが……」と感動しました。長文、駄文失礼しました。 (2021年3月17日 22時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:猩々 | 作成日時:2020年11月6日 14時