検索窓
今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:11,143 hit

第19話 ページ20

「な、なんだ!?」


私達は咄嗟にしゃがんだ。


すると、さっきの本が仕舞われていた本棚が床に収納される。

まさか、隠し通路だろうか。


「こ、これ…まさか、魔王城への入り口!?」

「こんなところにか!? だってここは歴代の勇者が必ず通る場所だぞ!? そんな所に道をつくるなんて…」


ジェイルの叫びに、フーザが冷静に返した。


「いや、有り得る話かもしれない。ジェイルのような考えをする勇者が多いから、こういう所はスルーされやすい。あえてここに道をつくるというのもない話じゃない」

「んん…? よくわかんねーけど、ここが魔王城の入り口ってことだよな?」

「おそらくね」

「よし! さっそく行くぞ!」


ジェイルが通路へ進む。


「ちょっと、ジェイル! ちゃんと準備をしてから…」

「大丈夫だって! やばそうだったら引き返せばいいじゃねーか!」


私達も慌てて追いかける。
フーザが「やれやれ」と呟くのが聞こえた。









それから私達はかなり歩いた。
歩くのにも疲れてきた頃、やっと出口が見え始めた。


「おい、お前ら! 早く来い!」


先を進んでいたジェイルが私達に叫ぶ。

何事かと駆け寄ると、ジェイルが出口の外を指さした。


「ここ! ほら、村の…」


そこは、私達が住んでいる村の裏にある洞窟の最奥に繋がっていた。
本来ならば巨大熊がいたはずの場所だ。


「うわ〜! 懐かしいね!」

「確かに懐かしいけどよ、魔王城への道じゃなかったみてーだな」


すると、今まで黙っていたフーザが奥の壁を調べ始めた。


「…いや、当時はわからなかったけど、さっきと似たような魔力がここから感じられる。2人とも、ちょっと離れてて」


私達は言われた通りにフーザから距離をとった。


フーザが壁に手をかざすと壁一面に魔法陣が現れ、その直後に壁が消え去る。
そこには、新たな通路があった。


「やるなフーザ!」

「やっぱり魔王城への道で間違いなさそうだね」



私達は本格的に魔王城へ攻め入る前に村へ戻り、明日から魔王城への攻略を開始することにした。

私達は洞窟を難なく進んでいく。
9年前と比べて、少しモンスターの数が多くなっているような気がした。これも魔王の影響だろうか。

少し歩くと、洞窟の出口が見えた。
外から差し込む光に目が眩む。

ここを出れば故郷が待っている。


「…何、これ」


しかし、そこに村と呼べるものはなかった。

※第20話→←第18話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (25 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
5人がお気に入り
設定タグ:ファンタジー , 名前変換オリジナル , たすけて! , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

猩々(プロフ) - パトさん» そのようにおっしゃっていただけて嬉しいです。この作品を読んでくださりありがとうございました。 (2021年3月19日 19時) (レス) id: f5012a712b (このIDを非表示/違反報告)
パト(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました。終盤の段々狂っていく感じが凄くゾクゾクしました。読み終わってから設定キーワードを見て「こんなところにもメッセージが……」と感動しました。長文、駄文失礼しました。 (2021年3月17日 22時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:猩々 | 作成日時:2020年11月6日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。