第11話 ページ12
「A！ どうしたんだ？」
フーザが、尻もちをついた私の肩に手を置いた。
ジェイルとアルワンダも心配そうにこちらを見ている。
「こ…ここ！ ここに何か埋まってたの！」
「埋まってた？」
フーザが地面をよく観察するが、その後に首を横に振った。
「何も無いよ。見間違えたんじゃない？」
「そ、そんなはずは…」
私は納得がいかなかった。
確かに何か埋まっていたはずなのだ。
「Aビビりすぎだぜ！ だっせー」
ジェイルが私を指さしながらゲラゲラと笑う。
私が恥ずかしさから顔を真っ赤にして「違うもん！」と叫んだ。
突然、柳がザワザワと揺れる。
風はさほど強くない。明らかにおかしい揺れ方だ。
「ひ、ひいっ…！！」
アルワンダがガシッと私の腕をつかむ。
「何だ？ 誰かいるなら出てこい！」
ジェイルが剣を構えるが、返事はない。
しばらくの間、風の音だけが耳に入ってきた。
「も、もう帰ろ！ 何もいないよ！！」
恐怖が限界まで来たのか、アルワンダが珍しく大声で言った。
フーザもそれに続く。
「そうだね。あまり遅くまでフラフラしていると明日に支障が出そうだ」
「…俺も眠くなってきた。マジで誰もいなさそうだし、残念だけど帰るか」
ジェイルは顎が外れそうなくらいのあくびをする。
それを見て緊張がほぐれたのか、私もあくびが出てしまった。
家へ帰ると、ママとパパにはバレていないようだった。
パジャマに着替えてそのままベッドに入ろうとしたが、急に怖くなってきた。
大好きなヤギの人形と寝よう。
「…あれ？」
いつも同じ場所に置いてあるはずの人形がなくなっている。
ママが片付けた？ いや、ママは私が人形を大切にしていることを知っているはずだ。勝手に片付けるというのは考えづらい。
ふと寒気がした。人形のことは後回しにしてもう寝よう。
その日はベッドに入ってからもなかなか寝付けなかった。
後に聞いた話だが、ママもパパも人形のことは知らないらしい。
一体どこに行ったんだろう？
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猩々(プロフ) - パトさん» そのようにおっしゃっていただけて嬉しいです。この作品を読んでくださりありがとうございました。 (2021年3月19日 19時) (
レス) id: f5012a712b (このIDを非表示/違反報告)
パト(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました。終盤の段々狂っていく感じが凄くゾクゾクしました。読み終わってから設定キーワードを見て「こんなところにもメッセージが……」と感動しました。長文、駄文失礼しました。 (2021年3月17日 22時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猩々 | 作成日時：2020年11月6日 14時
