帰り道 ページ19
｢ふぅ……｣
先生に精密検査な、と告げられ、車椅子で病室に戻る。
肺の穴がどうとか言ってた。
正直怖い。
今は痛くはないけど、怖い。
3年前、私は一般小児科病棟にいた。
小児科の色んな病気を抱えた子達が入院する場所。
時々個人部屋の子もいたけど、私はそれまで色んな子達と一緒の場所だった。
喘息の子、先天性心疾患の子が居る場所。
みんな自分と同じ境遇だから、優しくしてくれたし、物分りも人一倍良くて、病室のみんなで助け合っていた。
ある日、隣のベットの子が退院して、新しい子が来た。
その子はリナと言った。
結核を持っていて、まだ重くないけれど危ないからと入院していた。
私は隣のベッドでいつもお喋りをしていた。
リナは知的な子で、私が知らないことや、面白いお話を作ってお話してくれた。私はリナと喋っていて楽しかった。
数週間たった後、リナは発作を起こした。
苦しそうに咳を繰り返し、更には血も吐いた。
私は咄嗟にナースコールを押し、助けを呼んだ。
だが不運な事に、他の患者さんも発作を起こして大変な状態だったらしく、なかなか来なかった。
その時に病室に通りかかったのが内科の看護師のはずのドギョムだった。
ドギョムはすぐに対応したけれど、間に合わなかった。
その数分後に先生が来た。
ジス先生は泣いていた。
助けてやれなくてごめんと。
私はいつまでも覚えている。
自分の病気について喋った時のこと。
ーﾘﾅ｢私の病気はね、発作が起こって咳をすると肺に穴が空いて、ボロボロになって、血を吐いちゃうの。｣
｢うわぁ、想像しただけで痛い……
私はね、喘息って言って、その中でも症状が重くてね、私も発作が起こって咳が始まれば、苦しくなって、呼吸ができなくなっちゃうの。
もしかしたらね、私も血を吐いちゃうかもしれない。｣
ﾘﾅ｢苦しいね。お互い頑張ろ?｣
｢うん、治りますようにって、来月の七夕でお願いしようね。｣
ﾘﾅ｢そうだね。えへへ｣
もし、結核だったら。
シーツに着いた血が鮮やかにフラッシュバックする。
｢怖い……｣
ｳｼﾞ｢怖い??｣
｢うん、怖い……｣
ｳｼﾞ｢ん、大丈夫。治してあげるから。｣
｢……うん、約束だよ｣
ｳｼﾞ｢もちろん。｣
ウジ先生の細くて綺麗な真っ白い小指と、私のコケて骨ばった小さくて青白い小指を絡ませて、指切りをした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 185人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：wzcl | 作成日時：2021年8月30日 14時
