私はぶりっ子悪女を演じているのであって、断じてぶりっ子でも悪女でもありません

side：矢巾 ページ28

「( ˘꒳​˘ )ｵﾔｽﾔｧ…」

パーキングエリアでAと話をして、その後バスで再び東京へと向かっている。
Aはあの後ガチ寝している。

『大切なのは、選手全員ですよ』

選手を大切にしているのは知ってた。
でも、あんな真っ直ぐな目で言える人は1部の人間だと思う。
そんな奴がウチのマネージャーなんだな。


最初は、ぶりっ子で苦手だと思った。
俺は女の子は好きだけど、ぶりっ子は……ほら、及川さん狙いとかそういうのが多かったから。
だから、苦手だと思った。

でも、Aのぶりっ子は偽物だった。
パッと見はツインテールにして、選手に甘ったるい声を出して媚びを売ってるようにしか見えない。
けど、よく見ると俺たち選手を観察するように見るAがいた。
最初見た時は気の所為だと思ったけど、気の所為じゃなかった。
すぐに怪我や体調不良に気付いたり、俺たちほどではないにしても汗をかいたりした。
汗をかくということは、暑さだけじゃないってことはわかってる。それだけ選手のために動いてる。
まぁ、俺たちにタオルとかスポドリ渡す前に汗拭いてるからスタメンは気付かない。
汗水ながしながら俺たち選手のために動いてるAに気付けない。
たぶん、それをAは分かってる。分かってやってたんだろうな。

まぁ、ぶっちゃけぶりっ子してない時の方が可愛い。



渡｢ｲｲﾊﾅｼﾀﾞｯﾀﾉﾆﾅｰ｣

矢｢えっ？でもそうじゃん？｣

渡｢縁下さんの本質に気付けて凄いなって思ってたのに…｣

矢｢渡が『縁下さんと何話してたの』とか言うからだろ？｣

渡｢でもさ、監督とコーチ以外全員が寝た後に言うのってどうなの？及川さんとかに言えばいいじゃん｣

矢｢及川さんはちゃんと気付くだろ。俺が言うまでもない。それに、｣



『この話は2人の秘密です！あっ渡さんには言ってもいいや』



矢｢って言われたからな｣

渡｢……なんで俺には言っていいの？｣

矢｢知らん。渡だからじゃね？｣

side：女主→←side：女主

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す