遊園地の前の回想 後編 ページ43
…そして、もう加藤は来なかった。
あとで確認したが、加藤の荷物は全て無くなっていた。
きっと、加藤はもうここには戻っては来ないだろう。
料理長「…芽斗吏お坊っちゃま？どうされましたか？」
俺が回想に更けている最中、料理長が心配そうな顔で俺の名前を呼ぶ。
…そういえば、コイツと話していたんだっけか。
芽斗吏「大丈夫だ。もう行っていいぞ。」
俺がそう告げると、料理長は静かに一礼し、キッチンへと戻っていった。
俺はその様子を目で追うと、食べかけの料理に目を向ける。
俺は両手に持ったナイフとフォークを空中で静止したまま、料理をじっと眺めているばかりだった。
ようやくフォークで料理を口に運んでみると、先程までとは違い、味気なく感じた。
芽斗吏「…もう、いらん。」
俺はナイフとフォークを皿の脇に置くと、ガタリと乱暴な音をたてて椅子から立ち上がる。
胸が締め付けられる不思議な感触。
俺は、一刻も早く(人１)に会いたいと初めて感じた。
一方その頃(人１)は…
朝の、うららかな日差し。
今は冬だっていうのに空は快晴で、カーテンの外には太陽を感じられた。
…現在、午前９時。
約束の時間まで、あと30分しか無かった。
隼人「起きろーっ！！」
隼人が乱暴にカーテンを開けると、部屋にまぶしい日差しが入り込む。
私はその日差しを遮るように布団の中に頭をすっぽりと潜らせた。
隼人「姉貴、起きろ！遅刻！」
隼人は負けじと布団を左右に揺らし、私を起こそうとする。
『ううん………はっ！』
その言葉で一気に目が冴えた。
そうだ…今日は才虎君と遊園地に行く約束をしていた日だった！
『い、今何時！？』
隼人「９時、きっかり。」
隼人は目覚まし時計を指差して笑顔でこちらを見つめた。
その途端に尋常じゃない程の汗と不安が押し寄せてきた。
え、ヤバイんじゃないの…？
確か才虎君には『明日は遅れないようにするよ！』と、どや顔で言っちゃったよね？
『うわあああっ！隼人の馬鹿あっ！なんで起こしてくれないのさ！』
隼人「ふんだ。俺のプリン食べたお返しだよ。」
私はその言葉に怒りをぶつける余裕もなく、机の上に置いてあった冷めたトーストを口に加えて、パジャマから洋服に着替えた。
…もう、この際何でもいいや。
パーカーを着ていこう。
『い、いってきます！』
そして、着替え終わるとすぐに扉を開けて遊園地へと全速力で向かったのであった。
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まるー - いつもキュンキュンしながら読ませていただいています！この作品、本当に大好きです！更新これからも頑張ってください！ (2018年9月30日 21時) (
レス) id: b1555a1980 (このIDを非表示/違反報告)
リプトン(プロフ) - 亜乱さん» 更新遅れてすいません…！ちょっと最近ネタが無くなりつつあるので、その場の思い付きで書いているので更新が遅くなってしまいました。速く更新できるように気を付けていきますね！ (2018年9月25日 6時) (レス) id: 834b297079 (このIDを非表示/違反報告)
亜乱 - めさくそ続きが気になります！！それにしても才虎がか、可愛い…(( こうしんがんばです！！！ (2018年9月24日 21時) (レス) id: 7a4fd9fb97 (このIDを非表示/違反報告)
レミ(プロフ) - 続編おめでとうございます！！この小説本当に大好きでいつも楽しく読ませていただいています！！更新いつも楽しみにしています、これからも頑張ってください！！ (2018年9月10日 23時) (レス) id: bcf4cc8d9e (このIDを非表示/違反報告)
黒枝 - とても面白いです！ 頑張ってくださいo(・`д・´｡)！ (2018年9月9日 17時) (レス) id: acc57dbcbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リプトン | 作成日時：2018年7月20日 18時
