忘れたくない 後編 ページ25
芽斗吏「っ…！なんだ、この音は…！」
優雅な時を過ごしていた最中にこんな耳障りな音が流れるとは思ってもいなかった。
耳がキンとなり、思わず耳を塞いでしまう。
すると、扉がガチャリと開き慌てた様子の黒服が吉野の前に現れ、片膝をつく。
黒服は何かを話そうと口を開くが、吉野の方が早かったらしく、話すのを途中で止めてしまった。
吉野「一体何事ですの！こんな大事な時に…。」
吉野はチラリと俺を見つめると、恥ずかしそうに俯いてしまった。
…余程俺の前で恥をかいた事が恥ずかしいのだろうか？
黒服「す…すみません、お嬢様！…ですが、侵入者がいるという情報ですので、この部屋から出ないようにしてください！」
吉野「侵入者が…？おかしいですわね、警備は強化したつもりでしたのですが…。」
頬杖をついて疑問に思う吉野を見ながら、心当たりがあることを考えていた。
…まさかな。
そして、その事を忘れるかのように、すっかり冷めきってしまった紅茶に手を伸ばし、一気に飲みほす。
若干の苛立ちがあったのか分からないが、少し乱暴に音をたててティーカップを置いた。
すると、吉野が肩をビクッと震わせる。
吉野「すみません、芽斗吏様…ご迷惑をかけてしまって。」
申し訳なさそうに肩を落とし、俯いてしまう吉野。
ここまで申し訳なくされると怒るに怒れなくなってしまう。
芽斗吏「…ああ、気にしなくていい。」
そして、訪れるしばらくの沈黙。
最初に口を開いたのは吉野だった。
吉野「あ…えっと、芽斗吏様の思い人って、どんな人ですの？やはり、とても美しい方なのでしょうか？」
興味本位で聞いてきたのだろうか、吉野は目をキラキラとさせながら俺の方をじっと見てくる。
芽斗吏「いや、美し…くはないな。…アイツには欠点しか見つからないような馬鹿でうるさい奴だったからな…。」
吉野「と、いいますと？」
芽斗吏「…アイツは馬鹿で間抜けで、食いしん坊で、いつも俺にベタベタしてきて、カレー大好きで、それから…。」
何故だろうか。
俺はアイツの嫌な所を口々に並べているだけなのに、こんなにも楽しくて嬉しい。
先程までの沈黙が嘘のように今では何でも喋れてしまいそうに感じる。
そんな中、吉野は俺の話を嬉しそうに耳を傾けていた。
だが、そんな時だった。
扉の向こうから怒鳴り声と大勢の人が走る足音が聞こえ始めた。
俺は話すのを止めて、聞こえてくる声に耳を傾ける。
『…才虎君っ！』
…(人１)？
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まるー - いつもキュンキュンしながら読ませていただいています！この作品、本当に大好きです！更新これからも頑張ってください！ (2018年9月30日 21時) (
レス) id: b1555a1980 (このIDを非表示/違反報告)
リプトン(プロフ) - 亜乱さん» 更新遅れてすいません…！ちょっと最近ネタが無くなりつつあるので、その場の思い付きで書いているので更新が遅くなってしまいました。速く更新できるように気を付けていきますね！ (2018年9月25日 6時) (レス) id: 834b297079 (このIDを非表示/違反報告)
亜乱 - めさくそ続きが気になります！！それにしても才虎がか、可愛い…(( こうしんがんばです！！！ (2018年9月24日 21時) (レス) id: 7a4fd9fb97 (このIDを非表示/違反報告)
レミ(プロフ) - 続編おめでとうございます！！この小説本当に大好きでいつも楽しく読ませていただいています！！更新いつも楽しみにしています、これからも頑張ってください！！ (2018年9月10日 23時) (レス) id: bcf4cc8d9e (このIDを非表示/違反報告)
黒枝 - とても面白いです！ 頑張ってくださいo(・`д・´｡)！ (2018年9月9日 17時) (レス) id: acc57dbcbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リプトン | 作成日時：2018年7月20日 18時
