十人十色の雪桜（４）

・ ページ35

.




『...っ...』


mg「起きた？」

『……めぐ、』





ふと目が覚めて、
暗くなった室内で近くに人の気配を感じた。

聞こえた声に、そこにいるのが目黒だと分かる。


起こそうとした身体は目黒によって押さえ込まれた。





mg「…39℃」

『……ん？』


mg「何で隠したの。言ってくれれば、もう少し身体休めたりも出来たでしょ。あんなに動いて、…馬鹿なの？」


『……っ』





叱られた。
怒っているとすぐにわかる声のトーン。

B型らしい、遠慮のない物言い。


いつもなら笑って返せるのに、今日は気が滅入っているのか心に刺さった。ブスッと深ーく。


ごめん…と謝ったところで扉が開く音がした。





ab「あれ、起きてる」

『りょへ…』


ab「目黒に叱られた？(笑)」





うん、と頷けば亮平が頭を撫でてくれる。


……と思えば、ペチンとデコピンをされてジーンとした鈍い痛みがおでこを襲った。


へっ、なんて間抜けな声を出して亮平を見上げる。

暗闇に慣れた目に映ったのは、眉間にシワを寄せて、もしかしたら目黒以上にお怒りの様子。





ab「バカAっ、最近のお前は無理しすぎだっ」


『……ごめん』


ab「俺らが調子悪い時に良く言ってるじゃん。『出来る無理はしていいけど、出来ない無理はしないで』って」





……言ってるね。言うわ、確かに。
……これはもう、特大ブーメランですわ。


何も言い返せない私に、亮平はさらに畳み掛ける。





ab「今日のAは出来る無理だったの？だったら終わった途端に楽屋で気失ったりしないよね？戻った俺らがどれだけ焦ったと思うの？次の仕事がある人みんなを行かせるのがどれだけ大変だったか…」


mg「阿部くん、阿部くんストップ」


ab「はぁ…とにかくこれ貼って。今から家運ぶから」





ペチンと勢い良く貼られた冷えピタの冷たさに悶えていると、ふわりと身体が浮く感覚。

目黒に抱えられたと分かるのに時間はいらなかった。


熱っつ…と呟く声に身体が強張る。


怒ってないから、と言われて一安心。
目黒の安心する温もりに身を委ねて、もう一度目を閉じた。




ーーーーーーーーーー
作者です。

いろは様より
『体調不良を隠してメンバーから説教&看病』
です。

リクエストありがとうございます！


続きます。


.

・→←出来る無理と出来ない無理（リクエスト）

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す