十人十色の雪桜（４）

珍しいこと ページ20

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ドラマの撮影でグループの仕事に後入りすることになった俺が楽屋に入ると、

珍しい光景にみんなが戸惑っているところだった。





dt「だから俺はおまえを心配して、」


『分かってるよっ、だからって私のプライベートにまで口出ししないでよっ！』


dt「……分かった。好きにすれば」





普段は言い合いなんか全くしない、涼太とAの口論。

涼太が呆れたように溜息を吐いたことで、とりあえずは収束したみたいだけど...


本当に珍しすぎて理由も全く見当つかない。


パニックパニック。




＊「スタジオ準備できましたー。撮影始めまーす」


fk「っあ、はーい！お願いしまーす！」





タイミングが良いのか悪いのか、スタッフが呼びにきてスタジオに移動する。


Aはスタスタと先頭を歩くし、

涼太は重い足取りで最後尾を歩く。


Aが「落ち着くから」という理由で勝手に涼太の隣を歩いてるだけだけど、

いつもの2人からはあり得ない距離感。


俺らもどうして良いか分からない。



撮影の合間もAは涼太と距離を取っていて、





nb「……で、なんで俺なんだよ」





自分で言うのもなんだけど、むしろ普段はほぼ絡みがなくて、口喧嘩ばっかしてる俺のところにいた。


しかも、相談付き。





『どうすればいいと思う…？』


nb「知るかよ。なんで俺に聞くんだよ」


『だって幼馴染みじゃん』


nb「だって、って言われても…まず、俺事情知らないし」





そうだった…と呟いたAは事の発端を話し始めた。



映画に音楽番組にテレビ収録に学校に、Aはここ最近忙しくて、日に日に体重も落ちたりもしてて。

…まあ、それは俺も気付いてた。


で、(だいぶ前の話だけど)映画の撮影が始まる前に週刊誌に撮られた共演者の俳優が未だしつこい、と。

…それは知らなかったな。


でも悪い人ではないから、誘われたサシ飯には行くことにしたんだ、と涼太に話をしたら「やめとけば？」と。

…まあ、分からなくはない。




nb「で、「プライベートに口出ししないで」か…」


『心配してくれてるのは分かってるの。正直、その俳優さんのことはちょっと怖いなって思ってたし…』


nb「でも飯はいくんだ？」


『だって、まだ撮影は続くし、ここで断ったらどうなるか、そっちも怖かったんだもん……』





はぁぁ...と深い溜息を吐いたAはそれ以降、今回の件について何も喋ることはなかった。


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