３日目〈本性〉 ページ31
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阿部が眠ってしまってすぐ。
部屋から姿を消していた男が戻ってきた。
思わず阿部の肩を抱く手に力が篭ってしまい、んん...と小さく唸った阿部が目を覚ました。
当然、男の姿も視界に入ってしまう。
ab「...ｯや...」
dt「ごめん阿部、」
だけど意外なことに、男は怖がる阿部を見て一歩下がり、その場でしゃがんで目線を合わせた。
想定外の動きに、俺も阿部も戸惑う。
＊「怖がらないで。まずは謝らせてください」
dt「どういうこと...？」
＊「彼は複数の人格を所有しているのです。もちろん私もその1人です」
ab「多重人格、ってこと？」
＊「はい。あなた方を最初に誘拐したのは剛(たける)という暴力的な攻撃性が高い人格です」
丁寧な言葉遣いでゆったりと説明を始めた男の様子に、俺らは幾らか落ち着いてきた。
それに気付いたのか、
男も俺らと目を合わせてしっかりと言葉を紡いでいく。
＊「次に目が覚めたあなた方を襲ったのは、龍弥(りゅうや)という人に対する依存性が高い性的暴力を好む人格、」
＊「そして私は真澄(ますみ)と言います」
dt「女性、の方？」
＊「はい。人格は男女関係なく出現します」
彼は主人格も合わせて4つの人格を持って生きている。
という男の説明は俄かに信じ難いけど。
でも時によって口調が変わったりやることが変わったりだった、男の言動の違和感を思えば合点がいく。
＊「主人格の彼は剛と龍弥の暴走に耐えられなくなってきていて、いわゆる乗っ取りが始まっているのです」
ab「...乗っ取り、」
＊「新たに生まれた人格が、主人格に成り代わろうとしているということです」
dt「なんでその、2人？はこんなこと...」
＊「自らの快楽のため、あなた方を応援したいという主人格の純粋な気持ちを利用したんです」
本当に申し訳ありません、と頭を下げられた。
何だろう...襲われたのは確かに目の前の人なのに...
謝る必要はない、と感じてしまう...
と、次の瞬間。
男の身体がフラリと傾いて、苦しそうに頭を押さえた。
＊「っ...、逃げてください、玄関を出て右、二つ目の十字路をまた右に曲がれば大通りです...っ、横断歩道を渡れば交番があります...」
ab「え、えっ、大丈夫ですか...？」
dt「どうしたんですか、」
＊「ははっ、頭の中で少し喧嘩をしてるだけです...っ」
さあ早く、と急かされるままに家を飛び出した。
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苺(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございます！次回更新たのしみにしております、お身体にはお気を付けてくださいね(*´-`) (2019年12月8日 12時) (
レス) id: 2b505c53ee (このIDを非表示/違反報告)
azuvixx(プロフ) - さっくんの優しさが現れる作品だなと思います。凄く続きが楽しみです！ (2019年11月24日 11時) (レス) id: 06f1cacbb4 (このIDを非表示/違反報告)
月の兎(プロフ) - 初めまして。まさかブイの面々が出てくるとは思いませんでした。ぶいすの担の私歓喜です（笑）続きも楽しみにしております！ (2019年11月21日 23時) (レス) id: 9b6fe057d4 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - 続きが気になります。 (2019年11月18日 9時) (レス) id: 34a5132cfc (このIDを非表示/違反報告)
美福(プロフ) - 更新の通知が来る度に凄く嬉しくてウキウキして見ています！これからも更新楽しみにしてます！頑張ってくださいね！ (2019年11月17日 13時) (レス) id: 9e6bdd0fef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おれんじ
| 作成日時：2019年11月11日 21時
