3日目〈訪問〉 ページ33
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ab「お邪魔します...」
博「宮舘くん、寝室に運んじゃうね」
健「お願い」
“ 彼 “ の家から逃げ出した後、健くんと遭遇した。
舘さんの熱を知った健くんは、それまで一緒にいたという長野さんを呼び戻してくれて、
家に運んでくれた。
まあ、家といっても......
ab「あの、すみません、ご迷惑お掛けして...」
坂「あぁ、いや。どうせ健が勝手に言ったんだろうし(笑)」
健「独り身なんだから良いでしょー。長野くんには家族がいるからさ!」
坂「いや、健お前もな?」
健「俺の住所はシークレットだから」
そう、健くんの指示で長野さんが向かったのは、
V6のリーダー、坂本さんのご自宅だった。
音楽の日でお会いしたくらいで本当に関わりがないから、緊張しかない。
それでも今は、
先輩という信用できる人の家にいる安心感がはるかに優っていた。
博「ねえ、彼すごい熱だけど。本当に病院に行かなくてよかったの?」
ab「......はい、」
あの後、健くんから逃れようとすることは諦めた舘さん。
だけど何も話さないまま、車の中で力尽きたように眠ってしまった。
俺には何となく、というかほぼ確信を持って、舘さんの行動の真意を察していた。
ーー先輩方が佐久間みたいに襲われたら...
だから、
なるべく人目につかないように病院を避けたんだ。
坂「確か解熱鎮痛剤があるはずだから、後でそれ飲ませとくよ。その後のことはまた考える」
分かった、と言って長野さんは帰っていった。
さて、と呟いた健くんがくるりと此方を振り返る。その真剣な表情に、少しだけ背筋が伸びた。
一歩、二歩、と健くんが近づいてくるのが見えている。
......いや、
見ているようで見ていなかったのかもしれない。
彼が目の前まで来て、その口が開かれた時になって、
健「さっきの舘様の、...ぇ、ちょっ、阿部?」
ab「...っ...」
ドクン、と心臓が跳ねて息が詰まった。
思わず蹈鞴を踏んだところをグッと踏ん張って、その場にしゃがみこむ。
そして、両手で身体を抱え込んだ。
健「......何かあったんだな」
坂「あぁ。しかも、只事じゃなさそうだ」
ab「ごめんなさい...っ、」
健「、大丈夫だから。何も考えるな。......触るぞ?」
キツく目を瞑って、迫り来る手のひらから逃れようとする。
ペタッと触れた手は少し冷たく感じて。
その心地よさに身体の強張りが緩くなった気がした。
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苺(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございます!次回更新たのしみにしております、お身体にはお気を付けてくださいね(*´-`) (2019年12月8日 12時) (レス) id: 2b505c53ee (このIDを非表示/違反報告)
azuvixx(プロフ) - さっくんの優しさが現れる作品だなと思います。凄く続きが楽しみです! (2019年11月24日 11時) (レス) id: 06f1cacbb4 (このIDを非表示/違反報告)
月の兎(プロフ) - 初めまして。まさかブイの面々が出てくるとは思いませんでした。ぶいすの担の私歓喜です(笑)続きも楽しみにしております! (2019年11月21日 23時) (レス) id: 9b6fe057d4 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - 続きが気になります。 (2019年11月18日 9時) (レス) id: 34a5132cfc (このIDを非表示/違反報告)
美福(プロフ) - 更新の通知が来る度に凄く嬉しくてウキウキして見ています!これからも更新楽しみにしてます!頑張ってくださいね! (2019年11月17日 13時) (レス) id: 9e6bdd0fef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おれんじ | 作成日時:2019年11月11日 21時