48 ページ48
.
指定された稽古場に着き、案内されるままに大会議室へと入った。
そこには既に主要スタッフさんや共演者さんが集まっていて、集合時間前とはいえ、私待ちだったとわかる。
『お待たせしましたっ』
「別のお仕事終えてきたんでしょう?お疲れさま。改めて、演出の古林です。早速なんだけど、始めちゃって大丈夫かな?」
『結城Aです。 大丈夫です、よろしくお願いします』
サッと志乃ちゃんが私から離れ、古林さんの隣の席に腰掛けた。
古林さんは、脚本家さんやその他のスタッフさんを紹介してくださった後、今回の作品に込めた想いや決意表明をしてくださった。
古「次に、今作の主役の紹介に入ろうかな?」
『あ、はい!』
古「さては緊張してるね?(笑) みんなもご存知の通り、今回はジャニーズ事務所Snow Manの結城Aさんを主役に迎え、作品を作り上げようと思います!」
古林さんの高らかな紹介に、パチパチと拍手や応答が返ってくる。
「それじゃあ一言挨拶でも」と言われて立ち上がり、ぐるりと会場を見渡して、志乃ちゃんが視界に入る。
『……えー、ご紹介に預かりました。Snow Manの結城Aです。事務所に入るまで実家で大衆演劇をしていたのですが、事務所に入ってからは外部の舞台に立つのが初めてになります』
声の出し始めは正直少し緊張した。いくら補聴器を着けてても普段喋ってると言っても、以前のようには到底いかない。
……なんなら今日は、調子が悪いし。
志乃ちゃんがしっかり頷いてくれて安心したけど、
私を見てくれている皆さんの顔を一人一人しっかり見ることはできないくらいには、緊張していた。
『――なので、私は演技ではなく本当に中途の聴覚障害を持って舞台に立たせてもらいます。ご迷惑をお掛けするかとは思いますが、精一杯頑張りますのでよろしくお願い致します。』
古「うん、いいね。よろしくお願いします」
必要な身の上話もしつつ、挨拶を終えて深々とお辞儀をすれば、古林さんを筆頭にまた拍手や応答で盛り上がる室内。
顔を上げれば、皆さん穏やかな表情をしていて。
本読み開始までの小休憩でも、たくさん話しかけてくださった。
おかげで舞台経験や身体のこと、色々と共有させてもらえた。
――良かった、受け入れてもらえた。
.
2506人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ポムプリン(プロフ) - 更新、楽しみにしています! (2022年1月16日 13時) (レス) @page50 id: 5cce6819d2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おれんじ | 作成日時:2021年1月9日 23時