朝焼けを探す花 (ページ42)

今日:6 hit、昨日:12 hit、合計:292,092 hit

４２ページ42

.

週刊誌の発売されて初日の仕事が終わった。

別に報道に関して何か話を振られた訳じゃない。

それでも、メンバー以外の自分たちを見る目が全て、気を遣ってるように感じた。

それくらい、誰の耳にも入っていて、
”関係者だから知ってる“の域を超えている報道の大きさだった。

ファンがいくら「メンバーだし…」と言ったとしても、所詮は多勢に無勢というか。

世間はこれでもかというほど、火に油を注ぎ続けている。今も。

fk「……なんか、想像以上」

『……うん。最近は露出も増えたし、メンバーとの距離感は伝わってるもんだと思っちゃってた』

移動者へ向かう道中。

ふっかと2人きり。

……正確には前にメンバーがいるけど。
こちらを気にしている様子がないから、実質2人。

fk「逆にさ、認知されるようになったからこそ、話題になると思われてんのかな」

俺らも売れたってことかぁー…！

なんて、ぐーっと伸びをしたふっかの無防備な脇腹をつつけば「やぁめろ！」と身を捩って逃げる。

思わず声を出して笑った。

やがて駐車場に辿り着いて、

外の世界に、ほんの少し…怖気付いた。

fk「……大丈夫。俺らしか居ないから。ね？」

『はぁーい』

気を紛らわそうと大袈裟なほど左手を天に伸ばした。

そうすれば、
「子供かよ」なんて笑って手を握ってくれることを知ってるから。

『……ふっかの手って、綺麗だよね』

fk「よく言われる。…そういえば、だいぶ綺麗になったね、傷」

『7ヶ月、何も無かったからね。治療もしてくれたし。……今はね、キツくても、痛みで解決しようってあんまり思わないんだ』

fk「そっか。……これで、タッキーに怒られずに済むな(笑)」

『やめなさい、滝沢くんね？(笑) …でも確かにそれはそう』

取り止めのない話で笑い合って、手を取り合って、きっと側から見れば恋人同士のようなそれ。

……この関係って、おかしいのかな。

ふっかだけじゃない。
メンバーとは全員、気を許しあっていて距離も近くて。

誤解を与えかねない距離感ってことは自覚してる。

でも、もうこれが日常で。

離れてしまえば寂しくて。落ち着かなくて。

fk「ゆき？」

『……あ、ごめん』

無意識にまた足を止めて手を握っていた。

ふっかは、私がキツく握ってしまった手を離す前に、グッと引き寄せると、「置いてくよ？」と笑う。

……離れられるわけないじゃんね。

.