２２、青 ページ22
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撮影も取材も終えた頃には、もう外は真っ暗で。
今日はみんなこれだけの予定だと聞いていたから、久しぶりに食事会をしようという話になっていた。
予約の時間まで余裕があるし、とのんびり準備を進めるみんなの中で1人、そそくさと楽屋を出ようとしてる人がいた。
『じゃあ、後で！ごめんね、』
nb「良いから。リラックスして歌ってこいよ」
『ん、ありがと』
そう、Aはアルバムのレコーディングがまだ残ってて。
あと少しだから、って。
録ってから合流することになってんだ。
舞台稽古が始まる前に終わらせたいらしい。
確かに、あいつのためにもその方がいいと思ったし。
食事会はあくまでプライベートだからね。
仕事優先なのは当たり前。
fk「じゃあ、そろそろ俺らも行きますか〜」
iw「ねえ、誰かAに店の場所送ってる？」
ab「あ、俺送ったよ」
fk「まじ？俺も送ったんだけど」
sk「え、俺も送っちゃった」
nb「送りすぎだろ(笑)」
ふっかが予約してくれたお店に向い、しばらく食事を楽しんでた。
そろそろ真面目な話でもするか、なんて雰囲気になってきた頃。
ようやく待ち望んでた人がやってきた。
『お待たせ、』
ru「ゆきちゃん！やっと来た〜」
『ごめんね？長引いちゃって…』
fk「全然大丈夫だから、謝んな」
iw「ほら、こっちおいで」
『えー、いわふかの間？』
iw「なんだよ、文句あんのかよ(笑)」
ないない、とくすくす笑いながら照とふっかの間に座ったAと、入り口のすぐそば、俺の隣に座った志乃さん。
隣になったからこそ、ふと誰も気にしていない時に志乃さんが浮かない顔をしているのが気になって。
その視線があいつに向かってるのを見て聞かずにはいられない。
nb「A、なんかあった？」
志「……ううん、何でもないよ」
nb「……。」
「何でもない」の言葉が明らかにいつも通りじゃなかったから、受け流すことはできなかった。
ジッと見つめていれば、志乃さんは観念したように溜息を吐く。
志「……レコーディング、いつもより時間かかっててさ」
復帰前より時間がかかるようになってしまったのは、正直しかたない所もあると思う。
聞こえないって、想像つかないけど大変だろうし。
……でも、この感じ。
……きっとそれだけじゃないんだろうな。
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作者名：おれんじ
| 作成日時：2021年1月9日 23時
