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午後8時を超えてもなお続く稽古。
とはいえ、この時間は個々の確認が主になるんだけどね。
ラウールと別れて稽古場に戻った私に、ズカズカと歩み寄ってくる佐久間と、その後ろには照。
まずいな…と思いながらも、逃げることはできず。
sk「お前もう帰れ」
『嫌だ。』
sk「自分がどんな状態かわかってんの？」
『自分のことくらい自分が一番わかってる』
sk「だったら帰れよ」
……わかってる。
この時間になれば、負荷のかかりすぎた足はこれでもかと痛みを主張しているし、疲労で頭の回りも遅い。
わかってるんだよ。
でもそれ以上に、焦って焦って仕方がないの。
iw「お前のいう通り、自分で気付いてると思うけど。足庇ってるでしょ？そんな歩き方で稽古しても、別の場所痛めるだけだよ？」
『わかってるよ…』
iw「わかってるなら無理しないでよ」
『………』
私は反応できなかった。無理しない、と言えなかった。
困ったように溜息を吐いた照とは対照的に、佐久間は大股で私に近づくと、その勢いのままに襟元を掴まれる。
iw「おい佐久間、」
sk「いい加減にしろよ！！」
『っ……』
sk「焦るのは分かる。より良いものにしたくてそれでも理想に現実が追いつかなくて。俺も焦ってるよ」
『だったら、』
sk「でも！！ でもそこで焦って無理したらどうなる？大事な本番で潰れるかもしれないんだぞ！」
ドンッと掴まれていた襟を突き放されて、数歩踏鞴を踏む。佐久間の至極真っ当なド正論に、怖気付いた。
ふと辺りを見渡せば、気を使ってくれたのかメンバー以外は稽古場を出ていて、最初は止めようとした照も、メンバーも、静かに事を見守っていた。
きっと、みんな言いたいことは同じなんだろうな。
sk「できるときに集中してやる。そう言ったのはお前だろ。中途半端なパフォーマスするくらいならやめちまえ」
iw「…佐久間、それはさすがに、」
『いいの照。…いいから』
佐久間は間違ったことは言ってない。
みんなを代表して嫌な役を買って出てくれてるのも分かる。
……だって、キッと睨みを利かせる佐久間の瞳が、少し、潤んでいたから。
『…今日はもう休む。…でも、見てるのはいいでしょう？』
sk「……見るだけなら」
『ありがとう』
何も頑張り続けることが全てじゃない、
休むことも稽古の内なんだ、って改めて諭される。
少しだけ、心が軽くなった気がした。
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り(プロフ) - 初めまして。いつも楽しく作品を読ませていただいています！おれんじさんの「当たり前を褒められるようになりたい」って言葉とても響きました。私は自己肯定感が低いのでとてもその言葉に救われました！頑張りたいと思います色々！ (2020年9月1日 0時) (
レス) id: 064656c818 (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ(プロフ) - JUSTerさん» コメントありがとうございます！一番だなんて恐れ多いですが…嬉しいです(o^^o) これからもご愛読よろしくお願いします！ (2020年8月9日 20時) (レス) id: f2384aad00 (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ(プロフ) - 美紀さん» お返事遅れてしまってすみません。いつもコメントありがとうございます。美紀さんも、おからだに気をつけてお過ごしください(^^) (2020年8月9日 20時) (レス) id: f2384aad00 (このIDを非表示/違反報告)
JUSTer(プロフ) - 紅一点ものの中でこのお話が一番好きです！！！次楽しみにしてます！頑張ってください〜〜！(*´`*) (2020年8月8日 17時) (レス) id: a497860194 (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルスと熱中症に気をつけてくださいね (2020年7月30日 20時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おれんじ
| 作成日時：2020年7月30日 19時
