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映画の稽古の休憩中、この隙にゆきに話を聞こうと思ってその姿を探すと、ソファでラウールと並んで座ってた。
どうやって切り出そうか考えていたせいか少し遅い足取りで、2人の元へと向かっていく。
「ゆき」と口を開きかけたのと、ラウがゆきの髪に手をかけたのはほぼ同時だった。
『！！』
ru「っわ…！」
fk「……やっぱりな、」
ラウールが髪をかけた右耳は、ピアスホールが開いていた。
でもピアスは付いてなくて、滲んだ血が固まってる。
……3つか。まあ、抑えた方だな。穴も小さいし。
fk「ゆき。」
『うっ…ハイ、なんでしょーか』
fk「最近、妙に発散がうまいと思ってたんだよ」
誤魔化すように、あはは…と乾いた笑いを零すゆき。
番組が放送されて、良くはない形で話題になって、事務所にも呼ばれて厳しく言われて。
『本当は、きっぱりやめようと思ったの。でも…』
そんなに簡単にやめられるものじゃないことは、当事者ではない俺たちにだって分かる。
ゆき自身が、「こんなこと続けてて良いわけがない」ってことを誰よりも強く思っていることも知ってる。
ゆきにとっては痛みを感じることが一番、苦しみから逃れるには手っ取り早いことも。
fk「……急がなくてもいいよ。少しずつだけど、回数だって減ってきてるじゃん」
『……うん』
fk「ゆきのペースでいい。もちろん、いずれは痛みなんかなくても毎日楽しめるようになれればいいけどね」
『……やめてよ、甘やかされると甘えちゃうじゃん』
fk「甘えればいいじゃん」
唇を噛み締めて俯いた彼女の震える肩をさすっていると、何処かへ行っていたラウールが救急箱片手に戻ってきた。
ru「言いたいことはふっかさんが言ってくれたはずだから」
そう言って、少し赤く腫れているピアスホールの手当てを始めたラウールは、さっきまでの動揺した表情ではなくて。
しっかりとゆきと向き合ってくれてるんだって分かる。
自分のことじゃないのに何故か俺まで嬉しくなって、真剣な顔して傷を見てるその頭をぐしゃぐしゃとかき混ぜた。
ru「ちょっと！セットしてるんだから！」
fk「ごめんって。なんか…嬉しくてさ」
『わ、おじさんがいる』
fk「おじさんっていうな！まだピチピチの1年目だわ！」
おじさーん！と揶揄ってくる笑顔はすっかり陰りが抜けた無邪気なそれだった。
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おれんじ(プロフ) - なこさん» お待たせしました！お話書かせていただきました。改めて、リクエストありがとうございました。 (2020年7月26日 1時) (
レス) id: f2384aad00 (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ(プロフ) - なこさん» リクエストありがとうございます。久しぶりにコメントの通知が届いて嬉しいです(*^^*) 早速執筆を始めますので、しばしお待ち下さいませ！ (2020年7月18日 22時) (レス) id: f2384aad00 (このIDを非表示/違反報告)
なこ - リクエスト大丈夫でしょうか？紅一点と佐久間くんの2人が些細なことで喧嘩してしまうけど、本当は佐久間くんは体調を崩していて高熱出しながらも無理しながらお仕事していて、それに気付いた紅一点が支えながらお仕事頑張るお話がみたいです！お願いします！ (2020年7月18日 22時) (レス) id: f423dff0dd (このIDを非表示/違反報告)
aaa3jsblove(プロフ) - 始まりと共にもこちらのお話もどちらも大好きです！これからも楽しく読ませていただきます！更新無理しない程度に頑張ってください！応援してます！ (2020年6月8日 13時) (レス) id: 3ed7af7ab0 (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ(プロフ) - 美紀さん» ありがとうございます。頑張ります。コロナ早く収束すれば良いのですが…。 (2020年6月8日 13時) (レス) id: 4ba10d4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おれんじ
| 作成日時：2020年5月17日 2時
