64、橙 ページ17
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ふわりと微笑んだしろちゃんは、泣かないために笑顔でいようとしていると言った。
ラウルが拳を握っとって、
ダテも八の字眉で彼女を見つめている。
そんな2人の様子もあって、俺は許されへんかった。
kj「なんなん、なんなんよそれ…」
『…なに?』
kj「泣いちゃうから笑う?なんでなん?泣けばええやん! いっつもそうや…しろちゃんは自分を大事にせえへんやん!しろちゃんは俺らのこと信頼してくれてへんの?!」
ちょっと…と肩を押さえてくるラウールを振り払ってしろちゃんにグッと近付く。
なんでラウールが止めたかとか、
しろちゃんがどんな顔してるかとか、
今はなにも見えてへんかった。
kj「身体に傷つけたり、病気なったり、なんでそんな限界になるまで我慢してまうんよ…! っ泣きたいなら泣けや!」
『何が分かんねん!!』
kj「っ…」
そんな怒鳴り声とともに突き飛ばされた身体をダテが受け止めてくれて、俺は我に返った。
『信頼してないわけがないやん! そんなん言うてる康二こそ!私のこと信じてくれなかったくせに…! なんでそんな勝手なこと、ばっか…っ、』
ru「ゆきちゃんもういい! もういいよ…」
ラウールが抱き寄せたしろちゃんの肩は震えていた。
俺は泣けばいいと言った。しろちゃんは泣いた。
……でも、違う。
俺は、泣かせてしまった。
kj「……ごめん」
dt「悪いけど、これから病院も行かなきゃいけないし、康二は帰ってくれるかな」
kj「……ごめんっ、」
俺は逃げた。
しろちゃんの言葉から逃げた。
しろちゃんの涙から逃げた。
ラウールには身を委ねるしろちゃんから逃げた。
ダテの冷たく聞こえる声から逃げた。
――俺がしろちゃんを信じてへん…?
そんなわけ…、
でも、リストバンドのことは信じてあげられへんかった…
それは事実…
それなのに俺、自分ばっか信じてほしいとか…
そりゃあ怒られるわな…身勝手すぎるもんな…
しろちゃんのこと、ちゃんと支えたいよ俺も。
だけど今の俺ではあかん。きっと。
しろちゃんのこと、もっと知らなあかん。
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むち(プロフ) - 大号泣しました。。すっごく苦しくて感情移入しちゃって。素敵な作品でした。ありがとうございました (2021年4月27日 1時) (レス) id: fc08b9a7cc (このIDを非表示/違反報告)
テクノに恋した天気予報士 - うらつくの作品でこんなにも泣いた作品は初めてです、もうほんとに明日学校あるのに目が腫れるってくらい泣きました、本当に面白かったです。素敵な作品ありがとうございました (2020年7月28日 23時) (レス) id: f20013ee9d (このIDを非表示/違反報告)
えびまろ(プロフ) - 初めまして。この作品を読んでいると、信じてもらえず本当の気持ちも言えないもどかしさ、苦しみに気づいて支えてくれる優しさ、気づけなかったメンバーの後悔など様々な感情で胸がいっぱいになり、終始涙でした。素敵な作品をありがとうございました。 (2020年7月15日 0時) (レス) id: 79d7d19d55 (このIDを非表示/違反報告)
う(プロフ) - 初めまして、1から全て1気に読みました、ずっと涙が止まらなくて苦しくなるほどでした、こんなに感情移入したのは久々でした、素敵な作品をありがとうございました、最後に幸せになれて良かったです、お疲れ様でした (2020年7月10日 0時) (レス) id: ab44f752c1 (このIDを非表示/違反報告)
renyaxxx8(プロフ) - めちゃくちゃ泣きました。号泣しました!!素敵な作品ありがとうございます! (2020年6月29日 4時) (レス) id: 24c62dd776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おれんじ | 作成日時:2020年5月8日 22時