89、橙 ページ42
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ラウルが一つ一つ、丁寧に真相を教えてくれてる。
俺らが知らんことも、ラウルは何でも知っていて。
自分が情けなくなるほど、頼もしかった。
ru「康二くんは繊細だから。……ゆきちゃんは、全てを知った康二くんが自分を責めたり、雪村さんを嫌いになっちゃうのが嫌だったんだよ」
kj「そんなん、っ…」
――多分、2人は見たくないよ。
分かっとった。
しろちゃんが気持ちを隠して誤魔化してることは。
みんな、気付いとったんよ。
でも、知らないふりをした。
知らないふりで、大丈夫やって思うとったんやな…
一通りの話を終えたラウは、俺らを見渡して、俯いた。
ru「ゆきちゃんだって頑固だった。事情が分かってる俺にすら、全然頼ってくれなかった。……俺、守るって決めたの。全部知った日に。……でも、…でも、ゆきちゃんは結局、苦しんで、悩んで、…っ、」
さっきまでとは打って変わって、弱々しくなる声。震える肩に、隣で話を聞いていためめがそっと腕を伸ばした。
ラウは身を預けるように寄りかかり、手で目元を押さえる。
ru「……っ居なく、なっちゃった…っ、」
守れなかった…迷惑じゃない、必要だって、伝えきれなかった…救えなかった…
ラウが溢す後悔は、重く俺らの心を落とし込んできて。
最年少に、大事な末っ子に、どれだけの重荷を背負わせてしまっていたんやろうか…
えぐえぐと嗚咽を漏らすラウルの名前を呼び、上がった顔を真っ直ぐに見据えたのは、
翔太くんやった。
nb「そんな後悔、今から取り返せるよいくらでも。勝手に俺らを捨てようとしたこと、逆に後悔させてやる」
dt「その前に、ちゃんと謝らなきゃね。俺たちみんな」
nb「……分かってるし」
翔太くんの言葉に、嗜めるダテの言葉に、みんなが頷いた。
……せやけど、手掛かりはゼロ。
どうやって探せばええのか。
案は誰も何も分からへん。
志乃さんや滝沢くんに聞いても、簡単には口を割らんやろう。
――結局、何も進展がないまま。
俺たちは9人で再出発を始めるしかなかった。
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むち(プロフ) - 大号泣しました。。すっごく苦しくて感情移入しちゃって。素敵な作品でした。ありがとうございました (2021年4月27日 1時) (レス) id: fc08b9a7cc (このIDを非表示/違反報告)
テクノに恋した天気予報士 - うらつくの作品でこんなにも泣いた作品は初めてです、もうほんとに明日学校あるのに目が腫れるってくらい泣きました、本当に面白かったです。素敵な作品ありがとうございました (2020年7月28日 23時) (レス) id: f20013ee9d (このIDを非表示/違反報告)
えびまろ(プロフ) - 初めまして。この作品を読んでいると、信じてもらえず本当の気持ちも言えないもどかしさ、苦しみに気づいて支えてくれる優しさ、気づけなかったメンバーの後悔など様々な感情で胸がいっぱいになり、終始涙でした。素敵な作品をありがとうございました。 (2020年7月15日 0時) (レス) id: 79d7d19d55 (このIDを非表示/違反報告)
う(プロフ) - 初めまして、1から全て1気に読みました、ずっと涙が止まらなくて苦しくなるほどでした、こんなに感情移入したのは久々でした、素敵な作品をありがとうございました、最後に幸せになれて良かったです、お疲れ様でした (2020年7月10日 0時) (レス) id: ab44f752c1 (このIDを非表示/違反報告)
renyaxxx8(プロフ) - めちゃくちゃ泣きました。号泣しました!!素敵な作品ありがとうございます! (2020年6月29日 4時) (レス) id: 24c62dd776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おれんじ | 作成日時:2020年5月8日 22時