絆奏（２）

30-1 ab（Re.28） ページ22

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ある日の昼下がり。


仕事がない組で共有スペースに集まって談笑をしていた。

テレビではニュース番組が流れてるけど、まともに見てる人はおらんのとちゃうかな。


……だから気付けんかった。そのニュースに。





ru「阿部ちゃん？」





机で宿題に向かっていたラウールがふと名前を呼んで、俺もめめも阿部ちゃんのいる方を見る。


確かに静かになったな、とは思ってたけど。


阿部ちゃんの様子は想像と全然ちゃうかった。

テレビの画面を凝視して、目を見開いとる。
動揺してるのは見て明らかやった。





――繰り返します。今日未明、東京都で女性が刃物で刺され、死亡しているのが発見されました。被害者の女性はストーカー被害を訴えており、前日から行方が、





ストーカー被害、という言葉が耳に入った途端、俺は目の前のリモコンに手を伸ばし電源ボタンを押した。


「康二ナイス」と肩を叩いてきためめは勢いよく立ち上がって阿部ちゃんに手を伸ばした。

……そして間一髪、崩れ落ちる身体を受け止めた。





mg「一回落ち着こっか。大丈夫、息できてるよ」





そのまま抱きしめて深呼吸を促すめめはすっかり手馴れとる。


宿題を片付けて阿部ちゃんの部屋に走るラウも、冷静にグループメールにメッセージを送る俺も、

すっかりこんな状況に慣れてしまった。


落ち着いて対処できるようになったんはええことや。

やけど、それは阿部ちゃんやダテの傷が深く、元気な心を取り戻すことができてへんってことでもあって。





ru「ブランケット持ってきたよっ…て、寝ちゃったか」


mg「ソファで大丈夫かな？」

kj「そろそろお昼やし、様子見ながらご飯食べよか」





2人の同意を得た俺は、朝食作りにキッチンへと向かう。


元いた場所をチラリと見遣れば、ソファに寝かされた阿部ちゃんにラウールがブランケットを掛けるところやった。

あれ、いつも阿部ちゃんが不安な時に羽織ってるやつ。


ラウもよう見とるな。さすがやわ。





ru「俺、見とくから。先に2人食べちゃって良いよ」





という言葉に、俺とめめは先に食卓につく。


いつもの倍速で平らげてラウと交代し、のんびり食べてるめめとラウの会話を聞きながら、

俺は阿部ちゃんの元へと向かった。


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