絆奏（２）

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佐久間阿部ちゃん、今の状況話せる?




少しして、スマホにメッセージが届いた。


俺は佐久間に、


事件の日の夢を見たこと、心や身体があの日のように全てを拒絶しようとしていること、

今の気持ちを、伝えた。




佐久間変なこと聞くけど、佐久間さんでもダメそう?





佐久間…事件の日も、ちょっと強引だったけど何故かあいつは受け入れられた。


ならば、今も…？




阿部分からない


佐久間行ってもいい?


阿部うん




さっきと同じように、あるいはそれ以上に、ゆっくりと音もなく開かれる扉をじっと凝視する。


向こうから現れた佐久間に、少しだけ身体が強ばった。





sk「俺から行く方がいい？阿部ちゃんが来る？」





一歩入ったところで座り込んで、そう問いかける佐久間。


俺が自分で答えを出したがるのを知ってて、きっとそうやって選ばせてくれてるんだと思う。


自分で出した答えには、頑固だと我ながら思うし。





ab「俺、が行く」


sk「うん。ゆっくりね」





ん、と差し出された右手に、恐る恐る手を重ねる。


ギュッと力強く握られた手はそのままに、佐久間が立ち上がった。





sk「よし！第一関門突破！！」


ab「ふふ、……第二関門は？」


sk「え？！ えーっと、部屋を出る！」





明らかに考えていなかったであろう佐久間は、キョロキョロと視線を彷徨わせて、扉の奥を指差す。


グッと突っ張った腕に俺が一歩踏み出せたのを確認すると、そのままゆっくり一歩ずつ廊下へ近づいていった。





sk「……よしきた！」

ab「っはぁ、」


sk「！！」





俺が息を詰まらせたことにいち早く気付いた佐久間は、グイグイと俺を部屋に押し戻し、ベッドに座らせる。





sk「今日はここまで！舘様がご飯作ってたから、持ってくる！」





俺が驚いている間にパタパタと出て行ってしまった佐久間は、そのあと本当に一度も、

俺を部屋の外へ促したりはしなかった。


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