十人十色の雪桜（６）

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和気あいあいとした雰囲気から一転、スタジオには緊迫した空気が流れていた。

座り込んで呼吸を整えていた結城が、左腕から血を流している。





ru「ゆきちゃ…っ、」

fk「ラウ、大丈夫だから。ちょっと離れてような」


mg「……。康二、俺らも行こう」

kj「でもっ、」

mg「俺らの出る幕じゃない」






年下の3人は事情を知らないようだ。

対照的だったのはオリジナルメンバーの6人。至って冷静に、慣れたように対処をしていた。





dt「ちょっと滲みるかも。ごめんね？」


『っ…、』





手当てをする宮舘と床に垂れた血を拭く岩本、そして彼女の背中をさする阿部に、じっと様子を伺う渡辺と佐久間。


深澤は向井、目黒、ラウールに付き添っている。


宮舘が止血の為に押し当てていたガーゼを外すと、結城の腕に幾つもの傷痕があるのが見えた。

それを見た彼女は、カメラに向かって言った。





『……汚いですよね。……自分の身体一つ大事にできないなんて、アイドルとして失格かな、』





彼女の後ろ向きな言葉に真っ先に反応したのは渡辺だ。





nb「んな訳あるか。汚くなんかないだろ」


『でもっ…Snow Manになって、こんなこと止めるって決意したのに…。結局、弱いまんまで…っ、』





声を震わせる結城の腕を取り、優しい手つきで包帯の上にリストバンドをはめたのは佐久間。


他のメンバーは渡辺と佐久間をその場に残し、リハーサルの準備を始めたようだ。





sk「…もちろん、止めるに越したことはないけど。そんなすぐに変えられるほど、簡単な問題でもないだろう？」


『……ごめん、』


nb「お前は何も気にしなくていいんだよ。だから俺らはこれをやったの。傷痕が証になるように。これはお前が頑張ってきた証だ。お前がアイドルを全うしてきた証だろ？」





小さく頷いた結城に渡辺と佐久間は立ち上がり、何事もなかったかのようにリハーサルは始まった。


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