お前じゃないとダメっていって【名探偵コナン】

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春休みまでの数日間、あれ以降工藤くんと関わることは全くなかった。
クラス違うし、共通の知り合いとかもいないだろうから、当然のことだろう。

そして、高校生活2回目の、春休み。
遊ぶ予定も2日くらいあるけど、ほとんどバイトを入れた。最大で六連勤。だいぶ稼げる。

高一の6月から始めたバイトはイタリアンのまあまあ人気店で、時給はよく同僚はいい人達ばかり、更に土日祝日は時給100円アップ、賄いあり、という好条件で気に入っている。

休日は待ちが何組か出る程忙しいけど、お金のためだと思って精一杯働く。

インカム越しに聞こえた、41卓様オーダーお願いします、という声に返事をして、個室になっている41卓に向かう。

失礼致します、と言いながら扉を開けると、見知った顔がそこにあって、思わずうわ、と声が出た。

「あれ、お前」
「……ご注文お伺いします」

私に気づいたらしいそいつの言葉を無視して、しゃがんでお客様の目線より下にいく。
正直注文をとるたび座らなきゃいけないのはめんどくさい。

「最近話したよな、えーっと確かー」
「……」

早く注文してくれ。
という目線をそいつ、工藤くんに投げかける。
だが気づいていないのか、気づいた上で無視してるのか知らないが、工藤くんは知らんぷり。

うーんと唸りながら私の名前を思い出そうとしている。
名前なんて名札見れば一発だろうに。

「思い出した、Aだ、一乃A」
「……はい一乃です、ご注文は」
「一乃Aちゃん？ってあの、菫先輩の？」

工藤くんの連れの女の子、確か幼馴染で空手の強い毛利蘭が、工藤くんの言葉に驚いたように私を見た。

「ああ、その先輩の妹らしい」
「そうなんだ！先輩そっくりで美人なのね！」
「そんなにそっくりなのか？」
「新一知らないの？有名だったじゃない」
「先輩の顔があんまり思い出せねーんだよなあ」

呼んどいて一向に注文しない2人に少しイラついて、わざとらしく咳払いする。

「ご注文をお願いします」
「あ、ごめんなさい、えっと、」
「きのこのクリームパスタとゴルゴンゾーラのスパゲティ、それとカフェラテのホットとチョコチーノ」
「お飲み物はいつ頃お持ちしますか」
「先で」
「かしこまりました」

スラスラ答える工藤くんに、もっと早く言ってよ、と思いながらハンディーに打ち込んで、注文を確認して送信する。

「少々お待ちくださいませ」
立ち上がって個室から出ようとすると、ちょっと待て、と呼び止められた。

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