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ここまで言われてやり返さないのもスッキリしないので、はは、と嘲るように笑う。

「勘違いすんな、って言った?」
「それがなんだよ」
「アンタなんかが菫に釣り合うわけないでしょ、そっちこそ勘違いしないで」
「あ?」
「ご存知の通りお姉ちゃんは私の何倍も可愛くて優しいの。アンタみたいなクズが付き合えるわけないじゃない、勘違いも甚だしい」
「……テメェ」
「最後まで優しい男演じてれば、もしかしたら私は騙せたかもしれないのにね、残念」

まあ優しくても付き合う気はさらさらないのだが。
男は腹を立てて私を睨みつけ、誰がテメェなんか!という捨て台詞を吐いて走って去っていった。なんだあの小物臭。

取り残された私と新一くんの間には、若干気まづい空気が流れていた。
ベンチにいたときはそんなことなかったのにな。
見られたくない場を見られてしまった。

「……大丈夫か?」
「大丈夫、怪我もないし、キスも寸前だったから何もされてない」
「それは何かされたって言うだろ……」

新一くんがバカ、と呆れたように呟いた。

「それだけじゃなくて……」
「え?」
「色々言われてただろ」
劣化版うんぬんのことだろうか。

「ああ、うん、大丈夫。慣れてるから」
「……」

なんてことないようにあっけらかんとして言ったら、新一くんがきゅっと悲しそうに、小さく顔を歪めた気がした。

「……助けてくれてありがとう」
「いや、もっと早く気づいてれば……というか、一人にしなければよかった」
「いやまさかこんなことになるなんて思ってなかったし、そもそも私が何も警戒しないで着いて行ったのが悪かったよ」
「ああ……もっと危機感持てよ」
「そうだね」

はは、と苦笑したら、ぽんと頭に手を乗せられた。

「大事になんなくてよかった……」
新一くんが、いや大事か?と言いながら首を傾げる。

「とにかく、今度から気をつけろよ」
「……うん」

ふ、と新一くんが安心したように笑った。
目尻の下がった優しい笑顔を見て、胸がバクバク高鳴り出した。

私が頷いたのを見て、新一くんが歩き出した。
後ろ姿をじっと見つめる。

痛いくらいの鼓動。
脳裏に焼き付いた笑顔。
じんわりと胸が暖かくなるのを感じた。

新一くんの登場は、まるでヒーローのようだった。

やはり私はどうしようもないくらい馬鹿で意思が脆いらしい。
誰も好きにならない、という決意はぐらりと揺らいでしまった。

だけど、だって。
こんなの、好きになるなという方が、無理じゃないか。

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未設定 - 世界一好きになれない夢主。胸糞悪い (2023年3月5日 17時) (レス) @page48 id: 438400fe3d (このIDを非表示/違反報告)
新一君しょうこ(プロフ) - はじめまして(新一君が大好きで名前申し訳ございません)前作のお話もとても大好きで、ありがとうございます胸にぐっときて涙が止まらず新一くんとこれまで悲しい思いをされた夢主様の未来お祈りしてやまないですこれからも応援させて頂いていますありがとうございます (2020年7月6日 13時) (レス) id: 84fa2ad3c6 (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。後日談も気になりますが、このままでも十分ですよね。次回作も楽しみです。よろしくお願いします。 (2020年7月6日 13時) (レス) id: 45c5a17459 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ああもう!お疲れ様でした!最高でした。途中途中で涙ぐみながらハッピーエンドで幸せいっぱい!夢主ちゃん良かったああ (2020年7月5日 19時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
オトハ - めっちゃ好きです。これからも無理せずに頑張ってください! なぜ高評価は一回しか押せないのだろうか、 (2020年6月15日 17時) (レス) id: ef611ec012 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みやの | 作成日時:2019年12月15日 17時

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