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「気にすんな」
「任せてよAちゃん、工藤が全部解いてくれるから」
「お前らもちょっとは考えろよなー」
新一くんが純くんと智也くんに呆れたように言った。
「いやいや俺ら工藤には勝てないんでー!」
「なるべく楽したいんでー!」
「お前らなぁ……」
おどけたように言う二人に、新一くんが苦笑した。
景品は俺らのモンだぜー!という純くんがちょっと面白くて、ふふと笑いが零れた。
「さすが高校生探偵」
「高校生探偵?」
古谷の言葉に宇野くんが反応した。
「知らないの?割と有名だよ」
「うーん、男に興味ないんで!」
「あはは」
あっけらかんとして言う宇野くんに笑う。
チャラいな、と少し思ったが私も新一くんの探偵事情は詳しくなく、人のことが言えないため黙る。
「よく警察の捜査に協力してるらしいよ」
「へー」
「超どうでもよさそう」
「頭いいんすね!」
「まあ学年トップだしね」
「すげー!」
何やら二人で盛り上がり始めたのを横目に、目的地はまだだろうかと前を向く。
ちょうど新一くんが後ろを振り返ってて、バチと目が合った。
何?という意味で首を傾げたが、新一くんはなんでもない、というように首を降って前を向き直した。
なんだったんだろう、と思ったが、私たちが新一くんの話をしていたので、気になって振り向いたんだろうと思って、深く考えないことにした。
ようやく目的地について、先生に到着の報告をしてからまず昼食を取り出した。
1年生は先輩に遠慮してるのか発言が少ないが、2、3年は馬が合うらしくまあまあ仲良くおしゃべりをしていた。
私は食事のときは黙っていたいため、黙々とお弁当を口に運んだ。
昼食後は自由時間で、男子たちは広い公園内を走り回ったりしてはしゃいでいた。
古谷は他のクラスの友達と写真を取りに行き、必然的に一人になった私はベンチに座ってぼんやりしていた。
それを疲れているからと思ったのか、宇野くんが近付いてきて、大丈夫ですか?と言ってきた。
「うん、大丈夫。結構な距離歩いたのに、みんな元気だなと思って」
「鬼ごっこ楽しいですよ!先輩もどうすか?」
「いや、それはちょっと……」
鬼ごっこって。
高2、高3のくせに中学生みたいだなあと思った。
「あ、やっべ鬼きた!そんじゃ先輩、ゆっくり休んでてくださいねー!」
「ありがとう」
宇野くんは追いかけてくる鬼から逃げながら、ギャー!こっち来んな!と大声を上げながら走り回っていた。
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未設定 - 世界一好きになれない夢主。胸糞悪い (2023年3月5日 17時) (レス) @page48 id: 438400fe3d (このIDを非表示/違反報告)
新一君しょうこ(プロフ) - はじめまして(新一君が大好きで名前申し訳ございません)前作のお話もとても大好きで、ありがとうございます胸にぐっときて涙が止まらず新一くんとこれまで悲しい思いをされた夢主様の未来お祈りしてやまないですこれからも応援させて頂いていますありがとうございます (2020年7月6日 13時) (レス) id: 84fa2ad3c6 (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。後日談も気になりますが、このままでも十分ですよね。次回作も楽しみです。よろしくお願いします。 (2020年7月6日 13時) (レス) id: 45c5a17459 (このIDを非表示/違反報告)
宙(プロフ) - ああもう!お疲れ様でした!最高でした。途中途中で涙ぐみながらハッピーエンドで幸せいっぱい!夢主ちゃん良かったああ (2020年7月5日 19時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
オトハ - めっちゃ好きです。これからも無理せずに頑張ってください! なぜ高評価は一回しか押せないのだろうか、 (2020年6月15日 17時) (レス) id: ef611ec012 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みやの | 作成日時:2019年12月15日 17時