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兄妹のスキンシップ ページ34

「A、先に教室行ってるぞ」
「え?うん、わかった」

新一が遥樹くんを押し退けて私の横を通る。
なんだか。

「新一くん、なんか不機嫌?」
「やっぱりそう見える?何怒ってんだろ、新一」
「……もしかして俺、嫌われてんのかなぁ」

遥樹くんが首の後ろを触りながら苦笑した。
「新一に?どうして?」
「だって工藤くん、俺が来てから機嫌悪くなったよ」
「……そうだった?」

和花ちゃんを見る。
「……言われてみれば?」
「確かに……そうだったかも……」

千花ちゃんと和花ちゃんが納得したみたいに頷いた。

「遥樹くん、新一に何かしたの?」
「んー……」

苦笑してる。
答えづらそう。

「したっていうか、見たっていうか……」
「見た……?」
「だいぶ前にね」
「前?」

遥樹くんがちらっと私を見下ろして、困ったように眉を下げた。
私に関係あること?

……もしかして。
誕生日に遥樹くんが言ってた、私と新一が抱き合ってたのを見たっていうやつかな。

「和花ちゃん、千花ちゃん」
「なに?」
「先に教室行っててくれる?」
「うん、いいけど……」
「なんで?」
「なんでも」
「わかった……」

二人がいなくなった後で、遥樹くんに聞く。

「遥樹くん」
「ん?」
「私が教室で泣いた日の放課後、私と新一のこと見たでしょ?」
「えっ」

遥樹くんが焦ったように慌てる。
「なんで……」
「ごめんね、遥樹くんたちが教室で話してるの、聞いちゃったの」
「誕生日のときの……」
「そう。盗み聞きしてごめんね」
「ううん……俺もなんかごめん」
「いいの」
「……新一くんはただの幼馴染って言ってたけど、本当?」
「……本当だよ」
「でも」
「ただの幼馴染が抱き合うわけないって思う?」
「……」
「私たちはずっと一緒だから、それくらい普通なのよ」
「それにしたって……」
「それに、新一にとって私は妹みたいなものらしいし、兄妹のスキンシップと同じ感覚なんだよ」

「それも聞いてたんだ……」
遥樹くんが呆然と呟いた。

「聞いちゃダメだとは思ってたんだけどね」
「……うん」
「でも、新一みたいな頭のいいお兄ちゃんがいたら最高じゃない?」
「……でもAちゃんは」
「え?」
「Aちゃんは、工藤くんのこと……」
「新一のこと?」
「……なんでもない」
「……そっか」

教室行こっか、と優しく笑った遥樹くんに、うんと頷いた。

「……」
このとき私は気づいていなかった。
今の会話を聞かれていることに。

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極・吹雪姫 - ちょっとびっくりしたのが、弟の瑞紀(みずき)と私の「ミズキ」が被ったことだわね。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
極・吹雪姫 - ごめんなさい、本当に途中で泣きそうになったわ。「泣く」ですわ。泣いたページ。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - こいつらまだ小学生だった…!なんつー濃い恋愛を…!この小説すごく好きです!遥樹くんのちょっとした嫉妬がこぼれて、それを見てとても切なくなる。ヒロインの気持ちはよく理解できるけど、やっぱり遥樹くんがいちばん好きです! (2019年3月11日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
松野かほ(プロフ) - 遥樹くんの読み方を今初めて知った← (2019年2月13日 15時) (レス) id: 45fd1e6358 (このIDを非表示/違反報告)
みお - この小説好きです!正直言うと新一より遥樹くんの方が好きだったのでくっついて欲しかったなぁって思ってます() (2018年6月8日 19時) (レス) id: 0646f7c2e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みやの | 作成日時:2018年3月1日 22時

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