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誕生日 ページ19

5月4日。誕生日。
登校したら、和花ちゃんと千花ちゃんにおめでとー!と言われた。

「ありがとう!誕生日知ってたんだ!」
「うん!」
「新一くんと同じなんでしょ?」
「そうだよ!和花ちゃん、新一におめでとうって言わなくていいの?」
「えー!恥ずかしいよ!」
「でも新一、いろんな人に言われてたよ?なぜか他の学年の人も知ってたし」
「えっ!」

和花ちゃんが驚いて、目を丸くする。
顔が赤い。

「……言ってくる!」
「いってらっしゃい!」

新一の元へ走っていった和花ちゃんと千花ちゃんを見ながら、微笑ましくなる。
ふふ、と笑ってたら、遥樹くんが近づいてきた。

「Aちゃん、誕生日おめでとう」
「ありがとう!」
「ごめんね、プレゼントとか何にもなくて」
「全然いいよ!おめでとうって言ってくれるだけで嬉しい!」
「そっか、よかった!」
へへ、と笑い合う。

「A!」
新一が話しかけたきた。
遥樹くんを睨んでる気がする。

「なに?」
「今日帰ってすぐ、俺ん家だぞ!」

こ、声が!
声が大きい!
慌てて、バッ!と周りを見渡す。
誰も見てない。よかった。

遥樹くんが新一を見て、私を見る。

「ねぇAちゃん」
「どうしたの?」
「Aちゃんってさー……」
「ん?」
「……いや、やっぱりいいや」
「……?」

遥樹くんが口ごもる。
なに?って聞き返しても、なんでもない、って誤魔化される。
ならいいや、と思って、深く気にしないことにした。


「悪い、先帰ってて」

新一にそう言われて、ひとりで校門を出る。
少し歩いたところで、ノートを教室に忘れてきたことを思い出す。

宿題に必要なノートだったはず。
まだ学校のすぐ近くだし、取りに行こう。
今来た道を戻る。

きっと、このとき戻らなければよかったんだ。
このまま帰ってれば、絶望することなんてなかった。


下駄箱に四人くらいの上履きがあるのを不思議に思いながら、教室に行く。

まだ明かりがついていて、何人かの男子の声が聞こえてきた。
早く入ってすぐ帰ろう、と思って、ドアを開けようとしたとき。

「で、何だよ、聞きたいことって」

中から新一の声が聞こえてきた。

咄嗟に手を離して、身を隠す。
なんで隠れたのかはわからない。
耳をすませる。

「ぶっちゃけさ、工藤と成宮ってデキてんの?」

え!と声を出しそうになって、手で口を抑える。成宮っていうのは私のこと。
な、なんてこと。
何でそんなこと聞かれるの!

妹→←レモン



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極・吹雪姫 - ちょっとびっくりしたのが、弟の瑞紀(みずき)と私の「ミズキ」が被ったことだわね。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
極・吹雪姫 - ごめんなさい、本当に途中で泣きそうになったわ。「泣く」ですわ。泣いたページ。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - こいつらまだ小学生だった…!なんつー濃い恋愛を…!この小説すごく好きです!遥樹くんのちょっとした嫉妬がこぼれて、それを見てとても切なくなる。ヒロインの気持ちはよく理解できるけど、やっぱり遥樹くんがいちばん好きです! (2019年3月11日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
松野かほ(プロフ) - 遥樹くんの読み方を今初めて知った← (2019年2月13日 15時) (レス) id: 45fd1e6358 (このIDを非表示/違反報告)
みお - この小説好きです!正直言うと新一より遥樹くんの方が好きだったのでくっついて欲しかったなぁって思ってます() (2018年6月8日 19時) (レス) id: 0646f7c2e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みやの | 作成日時:2018年3月1日 22時

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