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俺の目を見て ページ43

方向が同じだから、という理由で、遥樹くんが家まで送ってくれた。
でも話す気にはなれなくて、無言で帰り道を歩いた。

「……あ、家、ここだから」
「そうなんだ……隣ってもしかして」
「新一だよ」
「やっぱり」

遥樹くんが困ったように苦笑いした。
「送ってくれてありがとう」
「どういたしまして。Aちゃんごめんね、なんか変なこと言っちゃって」
「……大丈夫」
「ホントに?」
「……うん」
「……あんまり気にしないでね」
「……」

気にしないで、って言われても。
もう遅いよ。そんなの無理。
忘れようとしても、忘れられないに決まってる。

家の中に入ろうとしたとき、がちゃっと勝手にドアが開いた。

「えっ?」
「……A」
「新一……」

遥樹くんの話を聞いて、なんとなく新一と顔を合わせづらい。
さっと俯く。

「あれ?なんで遥樹がいんだ?」
「……送ってくれたの」
「送る?なんで?」
「えっと……」

「え?工藤くん、知らないの?」
遥樹くんが遮った。

「知らない?何を?」
「今日のAちゃんのこと」
「今日のA?え?」
「知らないんだ……」

大山さんと高橋さんが、朝に私たちのクラスに来たこと気づかなかったのかな。
ふと感じる違和感。

「放課後、Aちゃん、隣のクラスの大山さんと高橋さんに呼び出されたんだよ」
「は?あの二人に?なんで俺に言わなかった?」

あれ。
なんか怒ってるような口調。

「別に……言うほどのことじゃないし……」
「言うほどのことだろ。何もされなかったか?」
「うん、なんにも」
「そうか……」
「階段の踊り場でお話してたみたいだけど、落とされそうになったりしなかった?」
「大丈夫だよ」

新一も遥樹くんも、ほっとしたような顔。

「じゃあ俺、もう帰るね」
「うん、ありがとう、また明日」
「バイバイ」

遥樹くんを見送って、新一に視線を戻したら、怖い顔。
キッ!と眉と目を吊り上げて、睨むみたいな表情してる。目が鋭い。

「……なに?」
「お前やっぱり、遥樹のこと好きなんだろ」
「前も言わなかった?」
「好きって?」
「うん」
「なあ、俺の目を見て」
「え?」
「なんでさっきから目合わせねぇの?」
「……気のせいだよ」

新一が不満気にため息をはいて、パッと俯いた私の顔を覗き込むようにして見てきた。
今は顔見れない。

慌てて前を向いて、家のドアを開ける。
「じゃ、じゃあね!また明日!」
「あ!おい!A!」

私を呼ぶ声を無視して、ガチャリと鍵を閉めた。

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極・吹雪姫 - ちょっとびっくりしたのが、弟の瑞紀(みずき)と私の「ミズキ」が被ったことだわね。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
極・吹雪姫 - ごめんなさい、本当に途中で泣きそうになったわ。「泣く」ですわ。泣いたページ。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - こいつらまだ小学生だった…!なんつー濃い恋愛を…!この小説すごく好きです!遥樹くんのちょっとした嫉妬がこぼれて、それを見てとても切なくなる。ヒロインの気持ちはよく理解できるけど、やっぱり遥樹くんがいちばん好きです! (2019年3月11日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
松野かほ(プロフ) - 遥樹くんの読み方を今初めて知った← (2019年2月13日 15時) (レス) id: 45fd1e6358 (このIDを非表示/違反報告)
みお - この小説好きです!正直言うと新一より遥樹くんの方が好きだったのでくっついて欲しかったなぁって思ってます() (2018年6月8日 19時) (レス) id: 0646f7c2e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みやの | 作成日時:2018年3月1日 22時

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