検索窓
今日:79 hit、昨日:148 hit、合計:925,121 hit

どうして ページ12

和花ちゃんと千花ちゃんと別れて、家の前にきたとき。

「あ!Aちゃん!」
「……蘭ちゃん」

新一の家から出てくる蘭ちゃんと遭遇した。

「Aちゃん、今帰り?」
「うん、そう。蘭ちゃんはお見舞い帰り?」
「うん!……あれ?Aちゃん今日ピアノじゃなかった?」
「……日にち間違えてて、本当は明日だったの!」
「そうなんだ!」
明日ピアノがあるのは本当。

「新一、どうだった?」
「え?」
「まだ熱ありそう?」
「ううん、熱はもう下がったみたい」
「そっか、よかった」

蘭ちゃんが、ふふっと笑う。
「Aちゃんと新一って、やっぱり似てる」
「似てる?」
「新一も聞いてきたよ。『Aはどうしてる?』って」
「……」

新一が、私のことを気にしてる?
私、優しくしなくていい、とか言ったのに。

「……なんて答えたの?」
「えっと、Aちゃんも心配そうにしてたよ、って」
「心配……」
「してたでしょ?新一が休みだって聞いて、Aちゃんすごいびっくりした顔してたもん」
「……そっか」
「あ、でも、新一ちょっと変だった」
「へん?」
「なんかね、寂しそうっていうか、悲しそうな顔してたの」
「悲しそう……」
「そういえば、Aちゃんも、今日そんな顔してる」
「わたしも?」
「悲しそうだよ」

もう、やだ。
新一に昨日言ったこと、後悔してる。

「Aちゃんたち、何かあったの?」

蘭ちゃんが困ったような顔をして、私を見た。

この子には、きっと隠し事できない。
一緒にいた時間が長いからか、ちょっとしたような変化にも、すぐに気づかれる。

「……なんにもないよ」
「そうなの?でも、Aちゃん泣きそうだよ?」
「……そんなことない」
「そう……何かあったら、私に言ってね」
「え……」
「私も、力になってあげたいから」
「……うん、ありがとう」
「ふふ!じゃあ私、帰るね!」
「気をつけて帰ってね……」
「うん!また明日!」

蘭ちゃんが手を振りながら、帰っていく。

蘭ちゃんの優しさに、胸が痛くなった。
どうして私は、こんなに最低なの?
あんなにいい子なのに、どうして私は、腹を立てたりしたの。

「ただいま……」
家のドアを開けて、中に入る。
おかえり!と、お母さんが明るい声で言った。

「新一くん、今日休みだったのね」
「うん……私のせいかな……」
「どうして?」
「どうしても……」

……もう、いや。
きらい。
こんな自分、だいっきらい。

知恵熱→←友達



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (372 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
956人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

極・吹雪姫 - ちょっとびっくりしたのが、弟の瑞紀(みずき)と私の「ミズキ」が被ったことだわね。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
極・吹雪姫 - ごめんなさい、本当に途中で泣きそうになったわ。「泣く」ですわ。泣いたページ。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - こいつらまだ小学生だった…!なんつー濃い恋愛を…!この小説すごく好きです!遥樹くんのちょっとした嫉妬がこぼれて、それを見てとても切なくなる。ヒロインの気持ちはよく理解できるけど、やっぱり遥樹くんがいちばん好きです! (2019年3月11日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
松野かほ(プロフ) - 遥樹くんの読み方を今初めて知った← (2019年2月13日 15時) (レス) id: 45fd1e6358 (このIDを非表示/違反報告)
みお - この小説好きです!正直言うと新一より遥樹くんの方が好きだったのでくっついて欲しかったなぁって思ってます() (2018年6月8日 19時) (レス) id: 0646f7c2e0 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みやの | 作成日時:2018年3月1日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。