不在着信 (ページ22)

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二十二件：flirt ページ22

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「えっ……」

そこにいたのは

黒田くんと安藤さん

『んっ』

女の顔をした安藤さんはまるで溺れかけている人のように

黒田くんのがっちりした身体にしがみついていた

『わたし黒田くんとは相性がいいみたい』

『今日もかわいいよ舞香』

『ふふ、黒田くん好き』

『…んじゃ檜山と別れてよ…』

私は混乱して視野が狭くなり

見てはいけないものを見てしまった罪悪感に今更駆られる

さっきまでの澄んだ心とは裏腹に人間の闇を見てしまった

思考がぐちゃぐちゃになってよく分からない状態に陥った

「ああ、忘れよう、とりあえず帰ろう、」

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檜「こんなところで何してるの？」

私の背後に部活終わりの檜山くんの姿

「え檜山くん！！あ、それはその、」

檜「着替えるのに更衣室使いたいからどいてもらっていい？」

「えっと、ちょっと、それはできない」

檜「？」

怪しげな表情で隙間から覗こうと前かがみになる彼を

必死に背伸びをして隠そうとする

檜「分かった、好きな人が着替えてるの覗いてた？」

「ちがうって」

「あ、あそこに橋本環奈！！」

檜「ふ、騙されるかって笑」

そんな微笑んでいられるのも時間の問題…

絶対に退いたらだめ、私退くな

檜「んじゃもう、ここで着替える」

「だめ！書庫行こ！ねっ？ほら行くよ！」

そう言って無理やり檜山くんを書庫に連れていく

”書庫”

「ほら、ここなら図書委員しか入れないから安心だよ」

檜「こんなところでふたりでいるの見つかったら逆にピンチですけど」

「っだから、さっさと着替えて出る！」

檜「はい」

「後ろ向いてるからね」

檜「別に向かなくてもいいのに」

「だめだめ」

…数分後

檜「着替え終わったよ」

「振り向いてい？」

檜「うん」

「よし、出ｙ

振り返ればまだ着替え途中の檜山くん

「っねえ！ほんっとやめてよ～！」

檜「はは、何照れてるの」

「照れてないもん、暑いだけ！早く着て！」

檜「今日泳ぎ方可愛いかった」

「も…からかわないでよ」

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檜山くんの悪戯な笑顔と

更衣室での情景が重なり合って

今、すごく複雑な気持ち

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人間は欲を満たすために傷付けて傷付けられて

汚くて醜い生き物なんだなって思った

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