不在着信 (ページ15)

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十五件：truth ページ15

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”ある水曜日”

「あの…一冊延滞されているので貸し出しはできませんが」

『いいでしょ』

「こちらで調べたところ昨年９月に借りられているみたいですが」

『そんな覚えはないわ、いいから早くしてよ』

「…」

そうこうトラブって２０分

何を言ってもケチをつけてくる一人の女子学生

苛ついたように頭をかいている

受付も混雑してどうも私ひとりじゃ対応しきれない

『だいたい一冊返さないくらいでいちいちうるさいんだけど』

「ルールなので…」

『あんたのせいで後ろが迷惑してるのよ、はやくして』

周囲の圧迫感に押し付けられて居心地が悪い

？「いや、あんたの延滞に迷惑してるんだけど？さっきから我儘すぎ。あんたに滞納させられてる本が可哀想」

そこにはいたのは安藤さんだった

言葉を投げつけるように女子学生に苛立っていた

『ふんっ、もういいわ』

そういって気に食わぬ顔でクレーマーは図書室を後にした

「ありがとう安藤さん」

安「あんたの為じゃないわ、仕事遅すぎ、もう少しテキパキできない？」

「ごめんなさい」

何でも器用にこなす安藤さんからして

私はいらいらの塊なんだろう

安「いつもは檜山くんがいるからって甘えてるんじゃないの？」

「そんなつもりは」

安「あらそう？あまり近づかないでよ」

もしかして安藤さんは檜山くんのこと…

だったら勝ち目はまったくない

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檜「Aちゃん遅くなったごめんね」

「ううん大丈夫だよ」

檜「舞香もいたんだ
　今日は一緒に帰れるよ」

今日は一緒に帰れる？

どういうこと

妙に自分の心がざわざわと波立つ

安「ほんとに？やった。
　じゃ、またねAちゃん」

「ああ」

さっきまで冷淡な顔をしていた安藤さんは

どこか嬉しそうな顔で出ていった

「檜山くんって安藤さんと付き合ってるの？」

だいたい答えは想像つく

檜「うん」

「…そうなんだ、お似合いだね」

思ってもないことを口にして気持ちを誤魔化す

「さっきクレーム対応に困ってたら安藤さんが助けてくれたんだ」

檜「あいつ気に食わないと何でもバシバシ言うから」

「美人でかっこいい女性なんて素敵だね」

檜「自慢の彼女だよ」

何でもできる完璧な人

お互い自慢できる恋人

不満も不安もなくて幸せなんだろうな

私の初恋は儚く散った

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