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-原田side-
彼女は落ち着いて過去を振り返り話した。
俺たちは黙って聞いていた。
何も言えなかった。
きっとAは、両親の亡骸を踏んだのも、憎しみがあったわけではなく、心の底からどうでもよかったんだろう。
Aは無邪気で純粋だ。
純粋に、誰かを大切と思わない。
それが普通だと思っていて、自然体がそれなんだ。
俺に懐いていても、純粋に気に入っているという感情しかないのだろう。
きっと……この中の誰が死んでも、Aは動揺しない。
環境によるズレた価値観が伝わり、俺らは何も言えなかった。
｢おわりー！｣
Aは話し終えると、話し疲れたのか、ぐんと背伸びをした。
沈黙の中、ただ１人言葉を発した者がいた。
｢……人を傷つけることもいけないですが、自分を傷つけることはもっといけないことです｣
山南さんは、冷静に微笑み、Aに言った。
｢でも傷は治るよ？｣
｢物理的にはなくなります｣
山南さんはゆっくりと笑みを消した。
｢しかし、痛かった、傷ついた、という事実は消えません｣
｢……｣
｢本当は、怖いのでしょう？｣
｢怖くないよ｣
｢きみは嘘つきですね。気持ちと行動が矛盾している。いや……行動で気持ちを抑えています。傷つくのが当たり前、無視されるのが当たり前、そうやって両親にされたことを当たり前のことにしようとして、痛みや恐怖、悲しみをなかったことにしている｣
｢Aはそんなこと思ったことない｣
｢刀を向けられても逃げないのは、逃げたら、怖い、死にたくない、痛いのは嫌だという気持ちがあるということを証明してしまうから｣
｢ち、ちが……｣
｢さきほども言いましたが、きみは言葉や行動で気持ちを抑えている。自分が信じたくない気持ちは、行動や言葉で真逆のことをして誤魔化す。きみは何も感じないのでなく、何も感じなかったことにしているだけです｣
｢Aそんなの知らないから！！｣
山南さんの言葉がAにとって図星なのは誰もがわかった。
なぜなら、Aはここに来て初めて＿＿＿＿いや、きっと生まれて初めて涙を流している。
そばに行って、その涙をすくってあげたい。
頭をなでて抱きしめてやりたい。
俺はその気持ちをぐっと堪え、拳を握りしめた。
きっと、これはAにとって大切なことだ。
大人の俺たちがAに教えてあげなければならない。
それは間違っている、いけないことだと。
叱ってあげなければならない。
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入華(プロフ) - 総ちゃんさん» 感想ありがとうございます！期待に応えられるようがんばりたいです(*'〇'*) (2016年9月27日 22時) (
レス) id: 236968fd40 (このIDを非表示/違反報告)
総ちゃん - 主人公と沖田さんの関係が気になります。更新楽しみに待ってますね(*´∇｀*)。 (2016年9月26日 12時) (レス) id: 725f51c669 (このIDを非表示/違反報告)
入華(プロフ) - 意見、質問、感想などがあれば書いてくださると嬉しいです！ (2016年9月17日 14時) (レス) id: 236968fd40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：入華 | 作成日時：2016年9月17日 14時
