19.血痕は残すな ページ22
走れば既に開いているゲートがすぐ見える。
エミリーとトレイシーが脱出している判定になっていることから、残りはこの二人だけとなったようだ。
幸運児はそっと胸を撫で下ろし、後ろから聞こえる吐息に振り返った。
「ありがとう！...君のおかげで助かったよ！」
Aはお礼の言葉に少し照れくさくなりそっぽを向いた。
『ううん...大丈夫、デス..』
そう言えば透明なんだからそっぽを向く必要はないんだった。
そう思い前を向く。
Aの視界に飛び込んだのは、幸運児の笑顔ではなく、ゲートの前にある赤いハイライト....
「あ、ヤバイッ！！」そう叫ぶ前に幸運児が苦しそうな悲鳴をあげた。
Aはリッパーがいるとわかったため立ち止まったが、幸運児はどうやら前を見ていなかったらしく一発殴られてしまう。
しかし、ゲートが開いているため苦しみながらも脱出できたようだ。
「......おや、今日は調子が悪いですねぇ....」
自身の鉤爪を眺めながら霧の中に隠れたリッパーはため息を吐いた。
Aはと言うと、目の前の推しと再び再会できた喜びに声にならない叫び声をあげていた。
勿論、彼女は透明なためリッパーには見えていない。
「あと一人は何処に....？」
透明だが鼻歌混じりに辺りを見渡すリッパーを見て、Aの中の悪魔が囁く。
透明だし、今の内に近くで眺めておけよ。
時間はまだタァップリあるぜ〜
いやでも、みんな逃げてるしダウンさせられたら....
大丈夫だって！
他の三人は逃げてるんだし勝ち確だろ？
それもそうだな。
Aはニヒルと笑うとリッパーのすぐ目の前に出た。
じーっと見つめても今なら問題ない。
「おー、流石リパちゃん。イケメンですなぁ」
おっさんのような言葉は心の中に留めておき、Aはあらゆる角度からリッパーを堪能した。
「ん？」
ふとリッパーは下を向き、違和感に気付いた。
何に気付いたのかさっぱりピーマンなAもリッパーと同じく「ん？」と心の中でそう漏らした。
サバイバーが見えないのに血痕が....
リッパーは自分をぐるりと囲むようにあるサバイバーの血痕を見て眉を潜めた。
しかし、ハンターしか見えない血痕をAが気付くわけもない。
かと言って彼女が今冷静だったならハンターは血痕が見えるという事を思い出せていたかもしれない。
生憎、今のAは相当テンションが上がっている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 509人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「第五人格」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かみきれ(プロフ) - すごい好きです。作者様は神ですか？お気に入り登録失礼します！ (6月1日 19時) (
レス) @page42 id: 1778223a4a (このIDを非表示/違反報告)
メグミ - この小説を私の小説の参考にしても宜しいでしょうか？ (2022年10月4日 5時) (レス) id: ebe50ea529 (このIDを非表示/違反報告)
推しは嫁(プロフ) - めっちゃ続き気になる！((((*゜▽゜*)))) (2021年2月2日 8時) (レス) id: 083dca73bd (このIDを非表示/違反報告)
暇人悪魔M:)(プロフ) - 僕です。さん» ありがとうございます！高校生になってから更新厳しいですが必ず終わらせようと思ってます！応援よろしくお願いします！ (2019年11月17日 22時) (レス) id: b7f6c1e616 (このIDを非表示/違反報告)
暇人悪魔M:)(プロフ) - soragirl3008さん» ありがとうございます！白黒無常さんとはこれからも関わっていくのでお楽しみに！ (2019年11月17日 22時) (レス) id: b7f6c1e616 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：暇人悪魔M:) | 作成日時：2018年11月5日 0時
