＊ ページ6
いつ先生を好きになったかなんて、分からない。
最初はやる気あんのこの先生って思ってたのに、いつしか授業中の横顔に惚れこんでしまって、そうなると後はどんどん先生の素敵なところを見つけてしまって。
マイナススタートだと、あとはどんどん好きになるばかりで。
「ね、アナタ補習の対象者に上がってますから」
「げ。そうなんですか」
「みっちりプリントやってもらいます。俺と一緒に」
「……先生がずっと隣にいてくれるの？」
「……言い方が悪かったです。アナタとその他の対象者を、教壇の上から監視してます」
「なーんだ、他にもいるんですかぁ」
「残念ながらね」
いつも敬語で話して生徒とは一線引いてるくせに、自分のこと「俺」って言っちゃうとこ、好きなんだ。
それって先生の素ですよね？
早く先生のその一線の内側に入りたいんだけどなぁ。
そうなるとどんな先生が見れるんだろうって、妄想は止まらない。
「もうすぐ夏休みでしょう。毎日学校に来たくなかったら、期末テスト頑張ってください」
「……でも補習になったら、毎日先生に会える？」
「……はぁ、そういうこと言ってると本当に留年しますよ？」
先生がタバコを簡易灰皿にジュッてして、立ち上がる。
後ろから抱き着いていた私を、上から見下ろす。
わぁ、この姿も素敵。
って多分毎回思ってるけど、飽きない。
「俺の尻尾ばっか追いかけてないで、真面目な恋愛してください？」
「わ、私はっ」
「年上の人間に憧れる、まぁその年齢だとそうでしょう。でも周りには、同世代でアナタと同じ時代を過ごしてきた男達がいるでしょう」
「……そうかも知れませんけど」
「こんなオジさん相手に、……あぁ、今までのも全部冗談でした？」
……結構ストレートに好きって伝えてきたつもりなんだけど。
冗談って言われちゃった。
全く相手にされてなかったんだな。
それは分かってたけど。
「……私が好きなのは二宮先生なのに」
「……そうですか」
「本気なのに」
「そうですか」
「先生っ、」
「では、頑張ってくださいよ化学、好きな二宮先生の為に」
さっきは嬉しかった口角を上げた微笑みが、今は私自身をバカにしているように映る。
きっと見下ろされてるから。
……悲しいな。
まだ冗談って思われてるのかな。
違うか。
本気って分かった上で、拒否されたってことなのかな。
……それが一番つらい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1288人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
cori(プロフ) - 古川さん» コメントありがとうございます！ええっ、そこまで言っていただけて嬉しいです…！実は私もこの5つの話の中で大野先生の話が一番好きで笑 だから余計嬉しいです！ (2019年8月11日 21時) (
レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
古川(プロフ) - 大野先生の話めっっっちゃ好きです……こういうのが読みたかったんです……私の需要を満たしてくださり本当にありがとうございます(スライディング土下座) (2019年8月11日 1時) (レス) id: ae72d41905 (このIDを非表示/違反報告)
cori(プロフ) - mayuさん» mayuさんありがとうございます(*^_^*)ほんと天邪鬼で手に負えませんね！笑 櫻井先生、もう少しお待ちください！ (2019年7月7日 13時) (レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
mayu(プロフ) - 二宮せんせー、ホントに天の邪鬼なんだから…でもそこがすき！(笑)櫻井先生の長編嬉しいです！楽しみにしています！！(^^) (2019年7月6日 21時) (レス) id: 862aa3f0aa (このIDを非表示/違反報告)
cori(プロフ) - kana59さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけるととてもやる気出ます〜！！あとはタイトルさえ決まれば出せるのですが…お待ちください！ (2019年7月6日 0時) (レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：cori
| 作成日時：2019年4月19日 21時
