＊ ページ12
背中から伝わる熱にドキドキしながら連れてこられた保健室。
私を背中から降ろして、可愛いチューリップに「在室中」と書かれたプレートを、裏の「外出中」に変える姿を見上げた。
「松潤ー」
保健室のドアをひきながらそう相葉先生が言うと、保健室の奥から「相葉くん？」と声が聞こえる。
「わ、生徒いるじゃん、松潤て呼ぶなよ」
少し怒った風の養護教諭の松本先生が私を見たあと、相葉先生を睨んだ。
「この子ね、コケてケガしちゃって」
「話聞いてんの？……うわ、顔痛い？」
ずいっと覗き込まれた瞳にくぎ付けになる。
上まつげも下まつげもばっさり、とてもカッコいい先生だとは思ってたけど、近くで見るとこんなにも。
「……聞いてる？」
「えっ、あ、」
「まいいや、えーっと、右膝と、頬っぺたと、あーあと両掌も」
「え、あ本当だ……」
「転んだ時手を着いたのは偉いよ。でも滑っちゃったのかな、頬っぺた痛そう」
「顔ね、ちゃんと痕が残らないように処置してあげてね！女の子なんだから！」
きっと誰にでもしてる女の子扱いが、嬉しい。
この間のジャグだって、今日のおんぶだって。
勘違いしては絶対にダメなのに。
「俺ちょっとミーティングあるからさ、30分くらいしたら戻ってくるから！」
「はいはい、ちゃんと先生しろよー」
「何だよ！俺の方が年上だよ！」
顔をプンプンとさせながら、相葉先生が丸椅子に座らされた私と目線を合わせた。
「家まで送っていくから。勝手に帰っちゃだめだからね」
ポン、とまた髪を人撫でされる。
「じゃ、松潤頼んだよ！」
「だから生徒の前では……って、はぁ、もう」
溜息をついた松本先生がこちらを見て、「さ、治療しましょうか」って笑った。
松本先生にされた処置はもちろんすぐ終わって、でも相葉先生には待っててって言われたからここから動けない。
部員が大きなケガをした時は保健室に連れていくことがあるけど、こうやって二人きりになると何を話せばいいか分からなくなる。
「明日２回戦だね」
松本先生が窓からグラウンドを見ながら、話しかけてきた。
きっと今頃、みんな練習が終わって部室に集まっていってるはず。
今日の後片付け、出来ないな。
明日みんなに御礼を言わなきゃ。
「はい」
「俺も昔高校球児でさ、甲子園目指してたなぁ」
「そうなんですね」
「相葉先生みたいな先生があの時居たらなぁって思うよ」
「え？」
松本先生は私を見て苦笑した。
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cori(プロフ) - 古川さん» コメントありがとうございます！ええっ、そこまで言っていただけて嬉しいです…！実は私もこの5つの話の中で大野先生の話が一番好きで笑 だから余計嬉しいです！ (2019年8月11日 21時) (
レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
古川(プロフ) - 大野先生の話めっっっちゃ好きです……こういうのが読みたかったんです……私の需要を満たしてくださり本当にありがとうございます(スライディング土下座) (2019年8月11日 1時) (レス) id: ae72d41905 (このIDを非表示/違反報告)
cori(プロフ) - mayuさん» mayuさんありがとうございます(*^_^*)ほんと天邪鬼で手に負えませんね！笑 櫻井先生、もう少しお待ちください！ (2019年7月7日 13時) (レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
mayu(プロフ) - 二宮せんせー、ホントに天の邪鬼なんだから…でもそこがすき！(笑)櫻井先生の長編嬉しいです！楽しみにしています！！(^^) (2019年7月6日 21時) (レス) id: 862aa3f0aa (このIDを非表示/違反報告)
cori(プロフ) - kana59さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけるととてもやる気出ます〜！！あとはタイトルさえ決まれば出せるのですが…お待ちください！ (2019年7月6日 0時) (レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：cori
| 作成日時：2019年4月19日 21時
