＊ ページ7
「ごめんなさい」
「は？違う、責めてるワケじゃないから」
「でも私が見ようって言ったから」
「俺も見たかったよ。だから大丈夫」
そう言って部長は私の頭を器用に後ろから撫でながら、「白いやつは？」と聞く。
「ウェディングドレスですか」
「そう、それ」
「それは本番はこれです」
そう言って、あの結婚式の日、これを着て雅紀が帰ってくるのを待っていた、思い出したくもないドレスの写真を見せる。
王道Ａライン。
雅紀が一番褒めてくれたドレス。
お姫様みたいだと、そう言ってくれた。
「……どっかのお姫様みたいだな」
部長から雅紀と同じ言葉が出てきて、驚く。
「お姫様……」
「多分、相葉さんも同じこと思っただろうな」
素材がサテン生地だから少し光沢があって、高級感も感じられるから恐らくそう感じるんだろう。
雅紀にも、部長にもお姫様、なんて言われて少しだけ嬉しくなる。
「……何だろうな、この、本番見たかったような、見なくてよかったような、不思議な気持ちは」
「結果論だけで言うと、櫻井さんに見られなくてよかったです。でも、私も見て欲しかったような、不思議な気持ちです」
「だよなぁ」
ははっと笑った部長の顔は見えないけど、もしかしたら時々する少しだけ情けない顔を今しているのかも。
「なぁ、……やっぱ、怖い？」
「へ？」
「結婚式とかすんの」
「結婚式……」
また同じ悲劇が繰り返されることは絶対ない、とは言えない。
今、こんなに愛を伝えてくれている部長にだって、その日何が起こるか分からない。
それはもちろん、私にだって。
「怖くないとは言えないです、けど」
「……」
「信じたいです」
「……」
「信じるから、私のことも信じてほしい、って思ってます」
「……でも、今度は同じ支度部屋で用意したいし、お手洗いに行くならついていっちゃう」そう言うと部長は軽く笑ったんだと思う。
少しだけ、自分の後ろ髪が揺れた。
「信じきれてねぇじゃん」
「だって」
「嘘だよ。どこまででもついてこいよ。俺だって、お前を離さねぇ」
手から写真の束を取り上げられ、部長が目の前のローテーブルに置いた。
「こっち向いて」
「何ですか、あっち向けとかこっち向けとか」
「今すげぇキスしたい気分」
「……やっぱキス魔」
「何度言ったら分かる、俺は」
「お前のことが好きなだけ、でしょ？」
「……分かってんじゃん」
部長の甘いキスに酔いしれながら、その日が来ることを心から願った。
【部長と、ドレスの話 Fin】
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cori(プロフ) - Yuriさん» いつもありがとうございます！そろそろ帰国してほしいなーと思ってます笑 次移行しますのでもう暫くお待ちください！ (2019年6月4日 7時) (
レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
Yuri - いつも楽しく読ませていただいています！翔くんが帰国するお話が気になります！更新、待ってます！ (2019年6月4日 4時) (レス) id: d785c31dd6 (このIDを非表示/違反報告)
cori(プロフ) - kaz2nsariさん» はじめまして、コメントありがとうございます！ニヤニヤしていただけたとのこと、とっても嬉しいです…！早く帰ってきてもらわないと、まだ書きたいことたくさんあるので…！また覗きに来てくださいね〜！ (2019年5月28日 0時) (レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
kaz2nsari(プロフ) - はじめまして！読ませていただきましたが、終始ニヤニヤが止まりませんでした！！翔くんがNYから帰ってきたあとのお話が気になります！！ドキドキ。。 (2019年5月27日 19時) (レス) id: f127e1252b (このIDを非表示/違反報告)
cori(プロフ) - きみきみさん» こちらにもコメントありがとうございます！名前呼びをしてみました。仕事以外で部長と呼ぶとすこぶる怒ります笑 いつかのニノさんで言ってたことを言わせてみました。絶対履いてると思います笑 また来てくださいね！ (2019年5月22日 17時) (レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：cori
| 作成日時：2019年3月26日 19時
