＊ ページ16
目を覚ますと、部長はもう出発の準備に取り掛かっていて。
昨日、あんなに……えっと、省略をするけれど、激しかったのに。
タフだなぁ、まだまだ若いなぁって。
「櫻井さん」
「あぁ、おはよ」
私が声をかけると振り向く部長。
その笑顔が朝から爽やかで、つい見とれる。
ベッドから顔を出した私に、ちゅ、っておはようのキス。
「来てくれるんでしょ？」
「もちろんです」
「じゃ、早く準備しな。この姿もなかなかいいけど」
そう言って目線を下に下げるから、今の自分の状況を思い出して。
「もう！変態！」
「その変態に昨日抱かれたのはどこのどいつだよ」
布団で急いで身体を包みこんだら、また軽くキスをくれる。
もういいです、っていうくらいのキスも、これが最後かも、って一つ一つ胸に刻み付ける。
「……ぎゅー、」
「はいはい」
私の精一杯の甘えだって、部長は優しく包み込んでくれる。
布団越しに。
あぁ、これからはこうやって、部長の体温は感じることが出来ないのね。
「荷物全部持ちましたか」
「あぁ。もし忘れてたらAがアメリカまで届けに来てよ」
「またそんな……」
部長、その冗談で私がどれだけつらいか分からないでしょう。
笑ってるけど、心の中ではどういう顔すればいいのか分かんないんですよ。
「絶対、この家に戻ってきてくださいね」
「あぁ。で、新しい家見つけような」
「目星つけておくんで、譲れない条件あったら教えてくださいね」
「……別にないよ、お前が居てくれたらそれでいい」
キャリーケースを脇に置いたまま、玄関でキスをする。
部長に強く抱きしめられて、そのまま私も手を部長の体に回すと、ほんの少しだけ。
ほんの少しだけ、部長の体が震えている気がして。
……そうだよね、部長だって、つらいよね。
「櫻井さん、大好きです」
「……ありがと、俺もだよ」
「そろそろ、行きましょっか」
「そうだな」
いくら別れを惜しんだって、その時は来る。
これが最後じゃないんだ、って、いくつものことを最後だと思ってきた癖に自分に言い聞かせる。
気持ちを強く持って、空港への一歩を踏み出した。
外は快晴。
飛行機も時間通りに出発出来そうだ。
部長が安全に行くことが出来れば、それが一番いい。
キャリーケースを預け終わった部長がこちらへ歩いてくるのを見て、ただそれだけなのに涙腺が緩みそうで。
次会う時はもう秋なのかぁ、ってどうでもいいことを考えないと、涙が零れてきそうだった。
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cori(プロフ) - Yuriさん» いつもありがとうございます！そろそろ帰国してほしいなーと思ってます笑 次移行しますのでもう暫くお待ちください！ (2019年6月4日 7時) (
レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
Yuri - いつも楽しく読ませていただいています！翔くんが帰国するお話が気になります！更新、待ってます！ (2019年6月4日 4時) (レス) id: d785c31dd6 (このIDを非表示/違反報告)
cori(プロフ) - kaz2nsariさん» はじめまして、コメントありがとうございます！ニヤニヤしていただけたとのこと、とっても嬉しいです…！早く帰ってきてもらわないと、まだ書きたいことたくさんあるので…！また覗きに来てくださいね〜！ (2019年5月28日 0時) (レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
kaz2nsari(プロフ) - はじめまして！読ませていただきましたが、終始ニヤニヤが止まりませんでした！！翔くんがNYから帰ってきたあとのお話が気になります！！ドキドキ。。 (2019年5月27日 19時) (レス) id: f127e1252b (このIDを非表示/違反報告)
cori(プロフ) - きみきみさん» こちらにもコメントありがとうございます！名前呼びをしてみました。仕事以外で部長と呼ぶとすこぶる怒ります笑 いつかのニノさんで言ってたことを言わせてみました。絶対履いてると思います笑 また来てくださいね！ (2019年5月22日 17時) (レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：cori
| 作成日時：2019年3月26日 19時
