【小説】魔女達の魔導書記録 (ページ7)

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【Episode 6】start【ルテ】ページ7

「んーっと、救済の城のルテ・クラーレです！」

少々小柄な明るい少女はそう名乗った。

「ルテって呼んでね！」、そう笑う姿は本来の年齢よりも幼く見える。
事実、3番隊の中では若い方ではあるが。

その後も隊員が自己紹介をする中、ルテはチョロチョロと動き回る。
副隊長のネロと気が合いそうだと分かるとイタズラの予定を企てたり、同じ救済の城のラフにちょっかいをかけたりと、やりたい放題だ。

その自由奔放っぷりを見たココが、ぼそっと呟く。

「......自分、貴方の事『苦手』です」

「なんと！ココさんが、嫌いな人に対して言葉をオブラートに...？！」

「同じ隊ですから」

ココのその様子を見て、他のメンバーから緊張が抜けていく。
周囲の人だかりでも、話が盛り上がってきたようだ。
会場内は活気に溢れ、笑い声も至るところから聞こえるようになった。

そんな中。

誰よりもハイテンションで誰よりもはしゃいでいたルテが、急に黙りこくった。
不思議に思ったのか、ネロが声をかける。
それに対してルテは、唇を尖らせて答えた。

「だって...。リアン君もルカ君も、バラバラだったし...。ココちゃんはルテの事嫌いみたいだし...」

テンション的にも言動的にもアホっぽいルテだが、人の行動から心理を見抜くことなど容易い。
それこそ、ルテでも出来るくらいには。

本格的に拗ね始めたルテを前に、ネロはお手上げとなりイタズラへ。
ラフも遠巻きに隊員を眺めるばかりで、ルテを保護する素振りはなかった。

つまり、今のルテは一人。
さらに拗ねに拍車をかける。

「おい」

負のオーラを全身から発するルテをいよいよ見兼ねたシルヴァが、ぶっきらぼうにそう言った。

「...俺も、フレア姉と隊が離れた」

ルテが返答することを考えていないのか、彼は淡々と話す。

「でもよ、任務がない時には多分会えるんだろ？今は隊員ともう少し話してみたらどうなんだよ」

そこでやっと、彼女が顔を上げる。
まだ唇は尖っていて眉間にシワもよっているが、さっきよりは幾分かマシだ。

「...ねぇ、シルヴァ君。訓練楽しみだね」

「...唐突だな、アンタ」

まぁ嫌いじゃねェけどよ、そう言いつつ三角座りのルテの手を引き立たせる。
この人は良い人だ、そうルテは直感した。

「ふふふ、ありがとう！よぉし、ココちゃーん！！」

さっきまでのいじけ具合が嘘のように、ルテはココのもとへ駆け寄っていく。

隊はまだ、動き始めたばかり_______