誰かさんの落し物（R.N） (ページ49)

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“ ３人でご飯行こ ”

久しぶりすぎる紫耀の提案に海人はすぐ乗った。

海「いいじゃん廉～！行こうよ～！」

あまり気分が乗らないが

この後１人になることを考えれば

今はこいつらといたほうが少しは楽なんじゃないかと、２人の後に続いた。

紫耀はマネージャーになにかを伝えると

紫「店予約してもらえた」

と、俺たちに言ってきた。

海「ありがとう～」

ニコニコ言う海人に続いて俺も「ありがと」と軽く言う。

そのまま車で着いた場所は

なんの偶然か、Aちゃんの働くお店だった。

「え、、」

紫「こないだ廉と来て美味かったからさ」

「ああ、、」

もしAちゃんがいたら…

もう２度と会わないと決意していた気持ちが簡単に揺らいでしまいそうで

「ごめん俺…」

言いかけた俺を

海「ほら廉！行くよ！」

と海人が押して来た。

入り口に入ると “ ゆうと ”と書いた名札をしている俺たちと同世代くらいの男性が笑顔で出迎えてくれた。

紫「予約してた、“ 田中 ”です」

紫耀がよく使う偽名をなんの躊躇もなくスラリと伝えると店員さんは

「お待ちしておりました、いらっしゃいませ」

と笑顔で出迎えてくれた。

靴を脱いでふと振り返るとその店員さんと目が合う

気にせずいると店員さんの動きがぴたりと止まった。

３人の頭にハテナが浮かんでいると

ハッとしたこの男性は

「すみません、ご案内致します」

と、丁寧な動作で動き出した。

海「僕らのこと知ってるのかな？」

ただそれだけの理由やったらいいんやけど。

案内するこの男をじっと見つめた。